戦争の気配

今年の夏は、暑かった。
あまりにも暑くて、そのせいで、いろんなものが、壊れたようで、特に、「前から壊れかけていたもの」などは、暑さに耐えきれず、あっさりと壊れてしまったようである。
そんな日本の夏が、もうすぐ終わるころ、遠いシリアでは、また、戦争の気配がしているらしい。
White Helmets controversy reveals Western media bias - Global Times
原文↑訳文↓

ロシアの防衛長官は、日曜日に、北西シリアで、武装勢力グループが、「中東と英語メディアに向けた配給」のビデオクリップを撮影し、シリア政府の仕業のように人々に思い込ませるために、化学兵器攻撃を演出するために、塩素を撒こうとしている、と発表した。

アメリカ、イギリス、フランスは、8月21日に共同声明を発表し、同三国は、シリア政権によるイドリブの民間人と民間施設に対する軍事攻撃に対して、深刻な憂慮をしていると述べ、「シリア政権によるこれ以上の化学兵器攻撃に対しては、適切に対処する」とした。

シリア政府は、対立勢力に対し、化学兵器を使用したと、何度も非難されてきた。
シリア政府は、否定している。
しかし、トランプ大統領は、就任後、化学兵器使用への報復だとして2発のミサイル攻撃を命じた。
シリア政府は、武装勢力に対し、かなりの圧力をかけている。

シリア政府とロシア政府は、シリア政府がまた濡れ衣を着せられて、軍事攻撃が繰り返されるのではないかと憂慮している。

長い間、シリアでの化学兵器攻撃を装ったのは、ホワイト・ヘルメットであると言われてきた。
それは、主にロシアのメディア、そしてわずかな西洋側のメディアで報道された。
ともかく、メジャーな西洋メディアは、この件について沈黙を守り、シリア政府が濡れ衣を着せられたということに触れるのを避け、対抗勢力の主張のみを取り上げてきた。
今回のロシア防衛長官の声明が、論争をストップするかどうかは、不明である。

国際世論は、いまだに、西洋側メディアによって支配されている。
西洋諸国が、非西洋側との紛争がある場合には、西洋メディアは、こぞって非西洋側を非難し、事実を超えた価値観や、姿勢を示している。

例えば、シリア政府が、対立勢力に対する化学兵器攻撃をすることの動機を説明することは、困難である。
ともかく、そういった、明白な矛盾に目をつぶり、西側の主要メディアは、対立勢力側の言うことを、信用に足る情報ソースとして取り上げる。
彼らは、アメリカ政府の一方的な主張によって行われた軍事攻撃については、疑問や批判はさしはさまない。

中国の人たちは、以前は、西側メディアが「独立」で「客観的」だと信じていた。
中国やロシアのような、非西側の主要勢力に関する問題においては、西側の世論形成は、自国や西側の利益を守るために動いてきたということは、近年になって、どんどん明白になっている。

アメリカ率いる西側は、支配的な教条パワーであるということは、こんにちの国際政治の現実であり、こんにちの国際秩序における、最もわけのわからない部分である。
国際舞台では、多くの事実は、西側の世論機関によって捏造され、善と悪は判別がつかなくされ、問題点は隠される。
彼らは、西側諸国の利益に基づく価値観によって、判断する。

イラク戦争の前、アメリカのメディアは、政府と歩調を合わせていた、こぞってサダム・フセイン政権が大量破壊兵器を持っていると、非難していた、のちに、戦争をするためのウソの口実を作るためだったということが、証明されるのだが。

ともかく、アメリカのメディアは、過ちを過小評価しており、自己反省はしない。
イラク戦争と同じ過ちが、次に起こることを防ぐのは、難しい。
おそらく、アメリカは、イラクにしたのと同じ論理を、シリア政府に適用しようとしているのだろう。


ホワイト・ヘルメット
戦争をされ、軍事攻撃をされて、そのせいでひどい目に遭うのは、偉い人ではない。
市井の普通の人たちや、軍の下っ端の人たち。
私の国でも、ずっと前だけれども、そうだった。
そのころは、よその国に行っても、弱い人ばっかりを選んでは、ひどい目に遭わせていたに決まっている。
悪いことを始めた偉い人たちは、大部分が、生き残ったうえ、刑務所にも入らず、何十年後かに、畳の上で、安穏と死んだようである。
だから、軍事攻撃をするということは、要するに、弱い者いじめなのである。
だから、戦争は、やめてもらいたい。
そして、戦争をする国には、協力をしたくない。
本当ならば、戦争をしようとしている国の普通の人たちに、立ち上がってもらって、自分の国の政府に対して、「やめれ!」というふうに、叫んでほしい。
…が、そこは、うまくできていて、アメリカ人というのは、「嫌いなヤツが大統領になったから、みんなでdisろう」とか、そういうことには、熱心なのだが、「自国の外では、何が起こっていても、特に興味を持たない」というふうに、非常に素直に、為政者たちが戦争をしやすいような方向性に、教育されているのだった。