登場人物について書きたいと思います。

上田久美子先生の登場人物はこちらが語らせたいものを持っているんだよな。

 

ギィ(イスファンディヤール)/明日海りお

 

優男を演じたら右を出るものなしというのが私のみりおさんのイメージですが、野心ある激しい情熱を持った男を演じていて、新たな明日海りおの代表作に巡り合えたと思います。

25歳位の青年ということなら、イスファン国ジャハンギール王朝の興隆から滅亡まで四半世紀の年月、歴史にはわずか、ということなんだろうな。

自分の正体を知らない白い奴隷の服から野心に満ちた黒い盗賊の服へ、赤い王族の服は様々なものを犠牲にした返り血の色、と銀英伝のかなめさんのお衣装を思い出しました。

もし、国が滅ぼされずイスファンディヤールとして生きていたら、おそらく第一王子として国を治める後継者として目されたと思いますが、気性の激しさはいずれ国の命運を左右したのだろうな、と思います。

 

でも、イスファンディヤールは罪なことをしました。敵は討ちましたが、愛する女性から夫も奪い(厳密に言えば去りましたが)子も手放し、同じ過ちをしているのですから。

 

タルハーミネ/花乃まりあ

 

ようやく「代表作」と呼べるものに巡り合えたという印象です。今までは再演の大役が多かったので。

子ども時代の無邪気さ、気性の激しさ、大人になってからの気高さ、でも、ギィを思う気持ちは変わらなくて。

そういえば、イスファン国が出来た時はまだ生まれておらず、おそらくギィより1、2歳は年下位なんでしょうね。

台詞もアニメ声をかなり抑えていましたし、歌唱も今までで一番よかった。

 

今まであまり好きではなかったけど、退団公演で認めたいと感じた。永遠に好きになることはないけど、タルハーミネは花乃さんにしか演じられない代表作だと思う。

 

ジャー(パードゥシャー)/芹香斗亜

 

この話の語り部で、ギィ、イスファンディヤールの弟、パードゥシャー。でも、パードルシャーとしては生きず、ビルマーヤの奴隷として生きることを選んだ。

その間秘密を知るのは王妃とジャーだけで、間の7年間どんな思いで過ごしたやら。

もし、パードルシャーとして生きていたら、激しい兄王を支える重臣的な弟だったんだろうな。

 

穏やかでおっとりした育ちの良さを活かした役だなと感じた。

 

キキちゃんの二番手時代の代表作とも言えるのではないだろうか。

「MY HERO」も楽しみだ。

 

テオドロス/柚香 光

 

タルハーミネの夫でギィのライバル(といっていいのかな)

「金色の砂漠」の発表があったとき、カレーちゃんは姫に求婚する異国の王子イメージがあったのでまさにイメージ通りの王子様だった。

でも、我侭な王族とは言いがたく、「奴隷」制度について疑問を持っていて、事実タルハーミネと結婚した後、奴隷制度は廃止されたと見ていいのかなと思った。

それでも王付きのルババ、王妃付きのピピと共に付いたのだろうな。多分自分の従者イリアスと同じ感じで見なして。

 

いわゆる現代的な価値観を持っていてしたたかな一面もあるけど、王族ならまあそれもいいかなと。ただ、妻を本当に愛していたかなと思えばな…それに、わが子を置いていくというのが。

あの後、どう生きたやら。まあ、したたかには生きたのだろうけど。

 

ジャハンギール/鳳月 杏

 

月組時代の月雲以来の上田久美子先生の作品の出演。

優しさの隙間もない力強く残酷な王を躊躇なく演じていたと思います。このようなやくを、今の花組で、宝塚で演じられるのはちなつさん位ではないでしょうか。

 

国を奪い、先代の王を殺し、アムダリヤを王妃にし、赤ん坊を殺さなかったのはアムダリヤに絆されたというより、ギィに底知れぬ何かを抱いたのではないかなと思いました。

 

タルハーミネが砂漠で行方不明になってギィを責めるよりは、タルハーミネに問う辺り、実はギィを庇う、というのか、成長を見て、どう自分を試すのか、対決するのか、というのを見たいと思った自分の甘さもあったのでしょう。

年齢的には40代後半~50代前半でしょうか。

 

観劇しながら、そんなことを考えました。

 

アムダリヤ/仙名彩世

 

次期花組トップ娘役のゆきちゃん。高貴な王妃様の役だから、どんな役作りでくるかなと思ったら、エリザベートの晩年を思わせるような王妃で、何かを諦め悟り、砂が舞い散るように淘汰されるのを待っているかのような王妃に移りました。

 

アムダリヤの魂はあの時先代王を奪われた時点で死んだようなものでしょうね。だから、普段表には出さない。

でも、息子を表立って庇いはせず、本名を教えて王国から逃がしたのは、アムダリヤの復讐、先代王を討って夫の敵を取ってほしいと思ったのでしょう。

しかし、塔から身を投げた。せっかく、息子が敵を討ったというのに。恐らく、自分の夫を奪い、命を救ったジャハンギールを愛してしまい、そんな愛の葛藤に苦しみ、耐えられなくなったというのこと、最初はルサンクを読む限りでは息子が同じことをした苦しみに耐えられなくなったから、と思いましたが、実際観劇すると違いますね。

 

オープニングの躯がちなつさんとゆきちゃんになっていましたが、わざわざ下級生ではなく、2人だったのは、ジャハンギールとアムダリヤの遺体をピピが砂漠に運んで共に手厚く葬ったのだろうなと思います。

 

フィナーレのロケットはキラキラ輝いていました。これからが楽しみです。

 

ピピ/英真なおき

 

上田作品に出るのは2回目のじゅんこさん。花組は中日ベルばら以来ですね。

王妃アムダリヤにずっと付いていますが、先代の王の時代から使えた使用人だったのでしょうね。それが奴隷に落とされて、王妃の側にいて。

ギィが王子ということを知っていて、それを知った上で励まし、宥めたりするのでしょうね。

 

イスファンディヤールによってジャハンギールが討たれた後、どうしたのでしょうね…

まあ、あの時点で老人だったから生き延びたとは考えられませんが。

 

他の登場人物について書きたいのですが、長くなりそうなので、続きます。