北海道在住の人気作家さん。
寒々とした北の大地みたいな描写が多かったけれど
いつしかこんなハートウォーミングな物語も書くようになられたのかと。しみじみ。



映写技師で脚本を書いたりしているけれど
仕事らしい仕事は現状ではかなり厳しい夫と
看護師の妻。
ふたりだけの暮らしからみられる風景を
淡々と思いやりを込めて描かれている。
彼等の両親が生きてきた軌跡であったり、隣人、そして自分自身のことであったり。
子どもはいなくても、贅沢な生活はできなくても
ここまで大切に想い合っているふたりはとても素敵だった。
淡々とした
というのがテーマなのだろうか。
毎日の何気ない積み重ねの生活の中で
誰かのことをずっと大切にしていくことは
そしてそれがお互いにそうであれば
歳を重ねていくのも悪くないのかなぁ。


ふたりでともに生きていることが幸せなことで
諍いも焼きもちも娯楽

というラストに出てくるところがとても良かったなぁ。