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で、本題突入です。

柳屋小三治「死神」

まずはあらすじをば。

主人公はうだつのあがらない貧乏な男。
ある日、死神に出会った主人公は、死神を追い払う呪文(あるルールを除いて)を教わる。
その呪文を活かして主人公は医者になり、難病を治すとたちまち有名に。
ところが、やがて金に目がくらんだ主人公は、死神から聞いたルールを破ってしまう。
その結果、主人公は自分の寿命を極限まで縮めることに。
死神に捕まり洞窟でそれを聞き、消えかけた自分の命のロウソクを持たされた主人公は、新たなロウソクを継ぎ足そうとするが…
(大幅に端折ってますが、まぁこんな感じです。)

いやぁ、良かったです。
じわじわ来る感じで。

今一つ力強さは感じられなかったものの、淡々と語られながらも隅々に現れる熟練の味。

ラストの死が迫る場面は、鳥肌が立つほどの臨場感。
名人と呼ばれる所以。

張り詰めた緊張感は最後、主人公のくしゃみによって幕を閉じます。

刹那のスイッチオフ。

ふと何故か「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラストを思い出しました。

昔、テレビの電源を切った瞬間の、あの“プツーン”て感覚に死をぼんやりと感じたあの感覚にも、どこかそれは似ているようで。


実は「死神」には様々なラストがあって、死神に騙されてロウソクを消してしまうパターンや、火を移すことに成功するパターンなどがあるらしい。(談志Ver.に至っては死神が消してしまうらしい(爆))
その中で小三治Ver.は、“くしゃみ”というあっけない幕切れを選ぶことによって、そこに介在する“死”という普遍的なテーマを際立たせているように思えます。


深い。

知れば知るほど、落語は深い。

こうしてまた俺は落語という渦に、さらに呑み込まれて行くのでありました。