2012年7月7日(土)「『私』が主役のお産をえらぼう」の第二回目「どこで産む?いろんなお産をきいてみよう」出産経験者と立ち会い出産を経験したパパによるパネルディスカションを、多摩市民館大会議室にて開催しました。
パネラーとして開澤さん(5歳、3歳、3ヵ月の母。1人目を実家で、2人目3人目を自宅で出産。)、坂本さん(中1、小4、4歳の母、上2人を助産院、3人目を病院で出産。)、土屋 さん(小2、4歳、6ヵ月の母、1人目を病院、2人目を自宅、3人目を助産院で出産。)、柳田さん(4歳、1歳の父、1人目を病院、2人目を助産院で立ち会い出産。育休取得経験あり。)をお迎えし、クローバーの会代表の吉田(小4、小2、3歳の母。3人を助産院で出産。)が進行役を務めました。
まず、クローバーの会の会員で写心家でもある江連によるお産の記録映像を全員で鑑賞しました。自らの産んだ時の感動が甦り、涙を流す人も見かけられました。「お祖母さんがお孫さんを愛おしそうに抱くシーンが印象に残り、命のリレーができて良かった」との感想もありました。
その後、パネラーさんにお話を伺いました。主な話題は、『産み場所は自分で選ぶ事ができる』『細やかな検診』『産まれるタイミングは赤ちゃんが選んでいる』『妊娠、出産を通して変わった事、気づき』『子育てはパートナーとの協力があってこそ』でした。
自宅出産を選ばれた開澤さんからは、「布団や畳の上で産みたい、本能的なお産がしたいと以前から思っていました。自宅を選んだのはお産を生活の一部として考えたかったことと、夫も同じタイミングでスタートを切れると思ったので選びました。また自宅検診は、待ち時間がない、1回1時間とたっぷり向き合ってもらえます。全身マッサージなど身体全体のケアや、上の子のケアや悩み事など生活全般の相談もでき、とても細やかでよかった」というお話を伺いました。
何事も比較検討している坂本さんからは、「産み場所検討でも、近所の病院の他に自宅から遠い助産院も見学に行き、自然なお産は生物的な理に叶っていると知りました。助産院で産みたいと思いましたが、万一の搬送のリスクが気になっていました。夫の「もし何かあってもそれも運命だ」という何気ない一言で肩の荷が下り、決心しました。お産、育児をきっかけに本能に目覚めていった」というお話でした。
一人目の出産後大きな変化のあったという土屋さんからは、「1人目の子供のアトピーがひどく、ステロイド剤をだんだん強めて使用する事に違和感を覚え、調べるうちに自然育児友の会に出会い入会しました。食や生活を見直す良いきっかけになり、それが二人目以降の自宅・助産院出産に繋がりました。助産師さんや自然育児友の会の友人の存在は心強い」というお話を伺いました。
お父さんの柳田さんからは、「自分は2度立ち会いましたが、立ち会えなくても、その後の育児にどう関わるかが大切だと思います。おすすめは退院と同時にお父さんが育休をとる事です。自分は育休を約1年取りましたがたとえ1週間でもよいと思います。
家事を担うことで退院後のパートナーの身体を休めてあげることができますし、互いに不慣れな段階で育児を同時にスタートすることで、上手な妻が下手な夫に教える、という一方的な関係になりにくくなるのでお勧め」というお話でした。
パネルディスカッション後、グループ討議を行い、参加者同士、内容をシェアしました。
グループ討議で「『私』が主役のお産をえらぼう、の『私』って誰だろう?」という話題が出ましたが、『私』とは、お産する自分だけでなく、赤ちゃんはもちろん、お産に関わる全ての人だと感じた、との意見にまとまっていきました。
最後にパネラーの皆さんから会場の方へのメッセージをいただきました。
開澤さんからは「妊娠、出産、育児、その時その時の女性のライフイベントを楽しんで下さい。もちろん、男性も!」
坂本さんは「母親も父親も、行動しながらだんだんと親になっていくんだと思います。選ぶ事の重要性を理解されたと思うので、皆さんも考えあぐね、実際に行動して、自分オリジナルのお産を選んで欲しいです。今日がそのきっかけになれたら嬉しいです。」
土屋さんからは「お産はゴールではありません。子育てのスタートです。また、助産院や自宅出産だけがよいという事ではなく、助産師さんとの相性もあるので、必ず自分の目で確認して選んで欲しいです。私は流産の経験もありますので、会えなかった命、会えた命、全ての命に感謝して欲しいと思います。」
柳田さんは「僕が育児に協力的で素晴らしい父親だという感想を持たれた方も多いと思いますが、これは自分の一面に過ぎず、不得意な分野もあります。男性と女性には性格の違いや感じ方のギャップなどがありますが、お互いがストレスを溜めずに認め合ってほしいですね。男性は単純な生き物で、褒めるとやる気になるので、もっと男性をおだててうまく乗せて下さい。」
お産は、事前にいろいろ考えていても、思い通りにいかないことも多いですが、赤ちゃんが選んだ結果を受け止め、赤ちゃんや支えてくれた周囲の方への感謝の気持ちを忘れないものとしたいですね。パネラーの皆様、ご参加くださった皆様、ありがとうございました。