昨年12月、福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が正式に決まりました。高速増殖炉とは、発電しながら消費した以上の核燃料を生み出す夢のような原子炉のことです。「もんじゅ」が完成すれば、核燃料を何度も再利用することができるため、政府や電力会社は、資源依存体質から脱却する夢を「もんじゅ」に託したのです。
しかし、1兆円もの公的資金が「もんじゅ」に投入されたものの、相次ぐトラブルなどから「もんじゅ」が稼動したのはたったの250日でした。今後、「もんじゅ」の廃炉には30年と3750億円もの費用がかかると試算されています。
核燃料を再利用する流れは「核燃料サイクル」と呼びますが、その要である「もんじゅ」の廃炉が決まったことにより、核燃料を無限に再利用するという夢は、はかなくも立ち消えとなりました。ちなみに、原子力政策で日本より先を行くアメリカやドイツは、コストやリスクの面から見合わないとの理由で、端から「核燃料サイクル」には取り組んでおらず、使用済み核燃料を地層に処分することを決めていました(現在のドイツは脱原発路線に舵を切っている)。技術的に日本を上回るアメリカやドイツさえも「核燃料サイクル」には手を出さなかったのです。
また、「もんじゅ」と並び「核燃料サイクル」の要に位置づけられているのが、青森県六ヶ所村にある「再処理施設」です。この施設には、全国の原発で使用した核燃料(ウラン)を「もんじゅ」で使用する核燃料(プルトニウム)に再処理するという役目が見込まれていました。全国の核のゴミを集積し、リサイクルをしていると言えば聞こえはいいのですが、実際、「再処理施設」が本格的に稼動した実績は1度もなく、稼動時期の引き延ばしを繰り返しているのが実態です。
このように、「核燃料サイクル」は、少なくとも今の日本の技術では実現できないことが明らかになった訳ですが、現実世界には、行き場を失った核のゴミが取り残されました。原発が「トイレのないマンション」と揶揄されるのはこうした現実があるからです。
このため、政府は今になって、使用済み核燃料を地層処分する方向へと舵を切り、いわゆる「最終処分場」の候補地の選定を進めているのです。今年7月には、「最終処分場」の建設に適した地域を示した「科学的特性マップ」が公表されました。
しかし、使用済み核燃料がいかに有害かは今更触れるまでもありませんが、はたしてそんなモノを受け入れる自治体はあるのでしょうか。かつて、高知県東洋町が「最終処分場」の候補地として名乗りを上げたことがありますが、住民の猛反発ですぐに取り下げました。
実は、同マップには、「再処理施設」がある六ヶ所村も「最終処分場」の適地として含まれています。政府は現在、六ヶ所村に対して「最終処分場」は建設しないと約束していますが、先にも述べたように、六ヶ所村には全国から大量の使用済み核燃料が運び込まれているのです。政府からすれば、そのまま六ヶ所村に「最終処分場」を建設してしまうのが都合が良いのではないだろうか。
今回、六ヶ所村の住民からこんな話を聞くことができました。
「今後、『最終処分場』の受け入れを表明する自治体が現れなければ、なし崩し的に六ヶ所村に建設されるのではないかと不安です。六ヶ所村は『再処理施設』の受け入れと引き換えに補助金を受けてきた背景があるので、政府から(建設の)要請があれば、他の自治体のように、きっぱり断れない後ろめたさや、しがらみがあるのです」
現実的に出してしまった核のゴミは直視しなければならない問題です。どこか、または、誰かが必ず責任を取らなければなりません。そして、今後は、将来世代にツケを回すような政策に対しては、きっぱり「やめよう」と言う勇気を持つことが必要ではないでしょうか。