□第49話□


『夏休み』



母「お口に合うかしら?」


「あ、はい。とっても美味しいです^^」


母「そう^^ それは良かったわ」


通「修兄一杯食べてね」


「あぁ、ありがとう^^」


母「…ねぇ、今回はいつまでこっちに居られるの?」


通「んー…一週間くらいかな?宝豊学園は他んとこより学校始まんの早いし」


母「そう^^ それじゃあそれまでの間、ゆっくりしていって下さいね」


漣「はい、ありがとうございます^^」


「……」


通「?修兄、どうかした?」


「あ、いや…ご馳走様です」


母「あら、もういいの?」


「はい、もうお腹一杯なので^^」


母「そう…通が大食いのせいかしら、なんとなく感覚が狂っちゃって…。
漣君はどうかしら?まだまだ沢山あるんだけど」


漣「はい、いただきます^^ 俺は修よりは食べる方なんで(笑)」


母「そう^^ じゃあちょっと待っててね」


「…じゃあ通、俺先上上がってっから」


通「ん。食べたらすぐ行くね」


「あぁ」


最後にそう小さく返事を返して、修は一足先に通の部屋へと戻っていった。



母「はい、漣君」


漣「あ、あざーっす^^」


母「いえいえ、まだまだ沢山あるから一杯食べてね^^
…でも、修君って綺麗な子ね」


通「綺麗って…修兄男だし汗」


漣「でもまぁ、あいつはカッコいいっつーよりは美人の部類だよな(笑)」


母「…でも、あの子…とても寂しそうに笑うのね」


「「!」」


母「なんだか、辛いのを隠してるみたいに笑ってるように見えたわ…」


通「そう?俺と一緒に居るときは全然そんな感じしなかったけど」


母「あらそうなの?…なら、私の勘違いかしら…」


漣「…親の愛情に、慣れてないだけですよ」


母「!え…?」


漣「どう反応していいか分かんないんすよ。
そういうもん(愛情)て、あいつもらったことねーから多分戸惑ってるんです」


通「……」


母「…ご家族と、喧嘩でもしているの?」


漣「さぁ…?俺もあんま詳しくは知んないし。
でも…これは俺の憶測なんすけど、多分あいつは…」




『あいつは…本当は、家に帰りたいんだと思います…』




***




「……」


『クゥーン…?』


「!…なんでもないよ^^」


そう言って心配そうに首をかしげながら尻尾を振るファンタを見て、優しく微笑みながら頭を撫でる修。


そしてその場でもう一度小さくため息を吐いた後、修は月明かりの下で何かを考えるポーズをしながらその後ずっと黙りこくっていた。



***



そして暫くして食事を終えた通と漣が部屋に戻ってきて、それぞれがお風呂に入って少し話をした後、疲れが出たのか嘘のように修以外の2人は眠りについてしまった。



通「スー…スー…zzz」


漣「くぅー…zzz」


「……^^」



コンコンッ、ガチャ…



母「お布団なんだけど…ってあら?2人とも寝ちゃった?」


「あ、はい。見ての通り、熟睡してますよ^^」


そう言って床の上で眠っている2人のほうを優しい笑みを浮かべながら見ている修の顔を見て、暫くして通の母親が口を開いた。



母「…優しいのね^^」


「!え…?」


母「自分が最後に寝るのって結構優しい人じゃないと出来ないのよ?」


「……優しい振りをしてる、だけですよ…」


母「!え…?」


「苦手なんです、俺…。人前で寝るのって。寝顔見せるの嫌い、だから…。
なんかヤなんですよね。弱い部分、さらけ出してるみたいで…」




本当の自分を、見られてるみたいで…



すごく、怖くなる―――




母「……修」


「!」


母「…って、呼んでもいいかしら^^? これから一週間の間」


「え?あ…はい…」


母「じゃあ、そう呼ばせてもらうわね。…修も、もう寝なさい^^」


「…はい…」


母「おやすみなさい^^」


「っ!……」


母「?」


「あ、いえ…。…おやすみ、なさい…」


母「^^」


最後にニッコリと微笑んで、母親は部屋を後にした。



「…おやすみ、か…。そんなの聞いたの、いつ以来だろ…」


最後に自嘲気味にそう微笑んで、修は壁にもたれながら片膝を折って深い眠りについた…―――




≪続≫