□第39話□


『球技大会』


そして試合が再開し、エンドラインからのOFでゲームがスタートした。

しかし蓄積された疲労のせいか、見るからに彼らの動きは重く前半のようなスピードやキレは見る影も薄れてしまっていた。



4「(なんでだ…なんなんだ、こいつら…)」


5「(顔色も悪くて…もうとっくに、限界は超えてるはずなのに…)」


6「(なのになんで、誰1人としてやめねーんだよ…?)」


7「(もう、立ってるのがやっとのはずだろ…?)」


8「(諦めたら楽になれんじゃねぇか…っ)」



南「…河合先生…」


龍「…どんなに運動能力が優れていると言っても、彼らはただの帰宅部だ。
3年間走り続けた彼らとは、体力の桁がまるで違う…一週間必死に練習して技術は追い付いても、埋めようのない差というものはどこにもあるものだ…」


南「……」


そしてそのとき敵のDFに攻め倦(あぐ)んだ修が重い腕を上げてスリーポイントラインの真正面からシュートを放つが、無残にもそのボールはゴールから外れてしまった。



「リングにすら届かないっ!」


「パスミスか?!」


通「修兄…もう、力が…っ」


そう言って泣きそうになりながらコートにいる修を見つめる通。


そして視線の先にいる5人は、フラフラになりながらも急いでフロントコートへと戻ってDFの形を作っていた。



その様子を見て居ても立ってもいられなくなったのか、向こうのキャプテンが修たちに向かって声を張り上げる。



4「っ…何でだよ…?」


「「「「「ハァ…ハァ…ハァ…ッ」」」」」


4「…もういいだろっ!?最初っから、お前らが俺らに勝てるわけねーんだよ!
もう充分だろ!?諦めろよっ!」



5「西村…」


「ハァ…ハァ…誰が…諦めるかよ…っ」



4「!」


健「諦めちまったら、そこで終わりやないか…。by.安西先生…(笑)」


漣「ハハッ…そうだな…(笑) まだ動けんのに、こんなとこで終わってたまっかよ…っ」



6「こ、こいつら…っ」


7「化け物か…っ汗?」



そう言ってごくっと息を呑んで全員が目の前で構えている5人に対して冷や汗を流す敵チーム。



そしていよいよ残り1分を過ぎたころ、チームメイトに対する『信頼』の絆でなんとか今にも倒れそうな体を持ちこたえている5人は、その強い精神力と負けず嫌いの気持ちで相手を圧倒するプレイを連発し、観衆の度肝を抜いていた。


おそらく、宝豊学園創設至上誰もの心に…そして、歴史に残るであろう一戦として彼らの名は時間と共に刻まれていった。



和「なんだ…どうなってるか心配だったから来てみたけど、どうやら無用な心配だったみたいだな」


相「みたいだね」


そう言って体育館の入り口からゲームを見てフッと笑う2人。



和「…外から射抜く、徹と修がシューティングガード」


相「中でも外でも点が取れる、オフェンスの鬼…ケンケンがスモールフォワード」


和「そいつらにパスを出せて、自分も切れ込める漣がポイントガード」


相「そして…一気にリバウンドの素質を開花させたマサをパワーフォワードに加えて、インサイドはさらに強くなった」


和「協調性のない個性強いあいつらが、初めて1つになったんだ。
こうなるともう、ちょっとやそっとじゃあいつらを止めることはできないぜ?」


***



そして試合もいよいよ大詰め。



5「チッ、短い…!」


4「リバウンドーッ!」


雅「うぉおーっ!
(死んでもこのボールだけは渡すか…っ)」


8「なっ…?!(高い…!こいつ、どこにまだそんな力が…っ)」


パシッ!


心「おっしゃー!先輩が取った!!」


滝「でも時間がない!あと5秒…!」


瀬「これを決めなきゃ勝てない…っ」


7「?!西村、前だっ!」


4「っ?!(もう走ってる…!)」


7番が指差す先には健太と修が既に自分のゴールに向かって走ってる姿があった。


その後ろにはマークマンである5番と6番も居る。


そしてマサからボールを受け取った徹が健太へとパスをし、そのまま2人はゴールに向かって一直線に突っ込んでいく。



監「シュートを打たせるな!ファールしても構わん!とにかくそいつらを止めろー!!」



漣「決めろー!修ー!」


馬「ケンケーン!」


全員が誰一人瞬きせず見つめる中、ボールを持ってゴールに突っ込んでいった健太にマークが2人寄ってきたのを見て、狭い視界の中、フリーである修にこの試合最高のパスが健太から渡った。


それは、お互いを強く信頼し、『こいつなら絶対決めてくれる』と思ったからこそ渡せたパス…。



5「な…っ?!」


6「あ…っ」


そして健太から受け取ったパスをギリギリながらもなんとかボードに当て一瞬にしてシュートを決めた修。


それを見ていた会場の観客全員は一瞬静まり返り、敵チームは大きく目と口を開け驚きと愕然の表情を浮かべていた。



健・修「「よっしゃー!!」」


そしてシュートが決まったことに気づいた瞬間、お互い同じタイミングで両手でハイタッチし、そのままガシっと抱き合う2人。



「「「「「「「「「「「「ワーーーーーーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」」」」




≪ピーッ!≫


『試合終了ですっ!』



4・5・6・7・8「「「「「?!」」」」」


監「!…っ…」


笛が鳴ったのを聞いてその場で膝を突いて悔やんだ顔をしている敵チームに囲まれながら、未だ信じられないような顔でその場に立っているテニミュ科の3人。



漣「ハァ…ハァ……勝った…のか…?」


雅「…うん…」


馬「そうだ…勝ったんだよ…。俺らが優勝したんだ!」


漣「っ…!! よっしゃーーー!!」


「「「「「「「「「「ワーーーーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」」」


馬「リーダー!」


雅「ケンケン!」


そう言いながら嬉しそうに2人の下に駆け寄って飛びつき、全員一緒にその場ではしゃぐメンバーたち。


そのときの5人の顔は、今までに見たことないほど嬉しそうで、屈託のない本当に無邪気な笑顔。


その様子を見た会場からは自然と拍手と歓声の声が漏れ、中には涙をしている人すら居た。




相「フッ…帰ろうか?和樹」


和「あぁ、そうだな。……おめでとう」


そう最後に小さく呟いて2人は高等部へと帰っていった。




そして両チームとも最後の整列に入り、お互いに礼をした後握手を交わす10人。



4「悪かったな…お前らのこと、誤解してたよ」


「!…別に、もう良いよ」


4・5・6・7・8「「「「「!…」」」」」


漣「まぁ…なんだかんだ、そのおかげで俺らもやっと1つになれたしな?」


健「まぁな(笑)」


馬「楽しかったぜ?お前らとのバスケ」


雅「時間あったら、またやろうよ^^」


4・5・6・7・8「「「「「……」」」」」


4「…ありがとう^^」



パチパチパチパチパチッ!!



こうして、球技大会最後の競技であるバスケも見事テニミュ科が優勝し、学園創設以来初の快挙である完全制覇という輝かしい功績が歴史の一部として記された。



≪続≫