□第29話□


『球技大会』



球技大会本番まであと4日。


それぞれの役割も決まり、課題として1人1人に与えられた特別メニューを時間がある限り確実にこなすメンバーたち。


より1人1人のスキルアップを目指すためにも、残り2日までは別行動を取り、それぞれの基礎が完成したところで残りの日数をチームプレイに当てることにしていたみたいだ。




スパンッ!


「ナイシュッ」


そう言ってたった今ゴールに入ったばかりのボールを拾い、スリーポイントラインにいるばーちょんに向かって的確なところへパスする修。



馬「サンキュ。
…今んとこ、確率的にシュートは6割入ればよしってとこか」


そう言ってボールを受け取った後、右手でTシャツの首元を掴んで口の上辺りまで持っていって汗を拭う徹。



「あぁ。でも、徹の場合身長もあるし、打点の位置とシュートフォームさえ崩さなきゃ滅多に外すことはねーよ」


馬「……俺が決めなきゃ、チームは勝てねーかもしれないからな」


「!……」


馬「…正直、認めたくないけどあいつらは強い」


「あぁ…。しかもあの映像は、悪魔であいつらが2年の時のだ。
3年の今、実力をつけた奴らがどれほど成長しているかは分からない」


馬「『後退してる』って可能性も、少なくは無いけどな?」


「!…フッ、そんなの滅多にあるわきゃねーだろ?(笑)」


馬「だよな。やっぱ…」


そう言って少し微笑んだ後、急に黙り込んだばーちょんを見て心配した修が声をかける。




「…徹?」


馬「安心しろよ、リーダー」


「!」


馬「弱気になってるわけじゃない。むしろ逆さ…。
少なくとも、俺が奴らに負けたくないって気持ちは、お前にも負けてるとは思わねーぜ?」


「!…フッ、頼りにしてるぜ^^?」


馬「あぁ。お前の負担、俺が少しでも軽くしてやるよ」


そう言った後、互いにニッと微笑んでハイタッチを交わす2人。



馬「まずは、自分たちの役割を少しでも確率の高いものにするのが先決だな」


「あぁ、そうだな。 あとは、あの3人だ…」



そう言ってチラッと横目で隣のコートで別メニューをこなしている3人に視線を送る2人。




「あの3人が使い物になるか次第で、試合の展開が大きく変わってくるからな」


馬「…なんとかなりそう?」


「…健太の場合、昼休みとかにバスケをよくやってたけど、贔屓目とかなしにセンスは正直あると思うよ。特に、OFのときのあいつの動きは脅威だ。
一度ノッたら、俺でも中々止められない…。


漣は何と言っても頭が切れる。元々器用な奴だし、シュート確率を上げて冷静にプレーすることができれば、俺にとってもチームにとってもかなり頼れる存在になると思う。


そしてマサ。あいつの場合、運動能力と潜在能力は生徒会メンバー1だからな。
あいつの頑張り次第で、チームの勝利は確信に変わる」


馬「…。様は育てようってことか…」


「あぁ…。この短期間で、あいつらがどれだけ成長するか…それによって、俺たちの勝ちが見えてくる」


馬「…まぁ、大丈夫でしょ。あいつらなら」


「!…そうだな…何せ俺らは、”天下の生徒会メンバー”、だからな?」



修がそう言ってニッと笑ったのを見てばーちょんも同じように笑い、2人して余裕な表情を浮かべていた。


それは、チームメイトを信頼してるからこそ出る、確信の笑み。




馬「…んじゃ、俺らは俺らのメニューをこなすとしますか?」


「あぁ、そうだな。
つーかさ、学校終わった後のこのメニューって正直結構しんどいよな…」


馬「あぁ、そうだね。特にランニング20周とか」


「そうそ。しかも俺の場合、ランニングはドリブルつきながらだからかなりつれーんだぜ?
しかも1周10秒以上タイムが遅れた場合ペナルティーだし」


馬「ハハッ、まぁそれも少しでもリーダーの技術上げようって魂胆なんでしょ(笑)
期待されてんだよ、リーダーは^^」


「若干その愛情が重いんだけどな…(苦笑)
まぁ期待されてる以上、それに応える努力はするけどさ」


そう言って軽くストレッチした後、早速コートの周りをストップウォッチを持って2人は走り始めた。




***




一方、隣のコートでは…―――



和「どうしたケンケン。もう終わりか?」


健「ヘッ、なめやんといてや先輩。俺はこっからやで!」


和「っしゃ、来い!」



そう言って果敢に加藤先輩に突っ込んでいく健太。

どうやら試合に向けて集中的にオフェンス力を上げる作戦のようだ。




***



漣「…相手の7番、スピードとドライブ(ドリブルで抜きに来ること)にかなり自信あるみたいっすね」


八「そうだね。彼を止めて、尚且つパスカットを狙うことができれば、課題として一番いいかな」


漣「…そのためにも、相手の癖や手の内なんかを徹底的に見抜いておかねーとな」


そう言ってもう一度敵のマークマンのビデオを再生し、徹底的に相手チームを調べ上げることに集中する漣。



***



雅「はぁ…っ、はぁ…、はぁ…っ」



龍『…勝つためにできることか…。何の目的でそれを求める?』


雅『…修君の負担を、少しでも軽くするためです』


龍『……』


雅『あと…あいつらには絶対負けたくない。
俺らは舐められたまま引き下がるほど、大人しくはないっすから』



雅「はぁ…っ、はぁ…っ、はぁ…」



龍『そうだな…。
もし攻守共にリバウンドを取ることができれば、うちは最強になるかもな』


雅『!…リバウンド…』



雅「…っ!」



やってやる…絶対に…っ!




***




職員室…―――



南「…どうですか?あの子達の様子は」


龍「…寝ても覚めてもバスケに集中している。あの子たちの勝利への意思は、半端なものではありませんよ^^」


南「さすがの修君でも、授業のときに少し眠りかけてたみたいですしね。
相当ハードなのでしょう…」


龍「…彼らは与えられたメニューだけをやってるわけじゃありませんから」


南「?どういう意味ですか?」


龍「徹君は、メニューが終わった後ひたすらゴールに向かってスリーポイントを練習しています。数にして500本。それも毎日欠かさずね」


南「ご、500…ですか?!」


龍「修はそれに毎日付き合って、パスを出しています。それが終わったあとはミドルレンジからのシュートと、ストップアンドシュート、そしてドライブの練習をしていますよ。

漣君や健太君やマサ君も他のメンバーに隠れて自主練してるみたいですし…。

久しぶりに本気になったあいつらは、もう誰にも止められませんよ^^」


南「…オーバーワークに、ならなきゃいいんですけどね…」


龍「そうですね…。まぁ、今はただ信じて見守っておきましょう」


南「……」




***




「徹、ラスト!」


馬「…っ!」


シュッ……スパンッ!


「ナイッシュ!」


馬「ハァ…ハァ…っ」


「…今日は500本中375本がイン。確率、大分上がってきたな^^」


そう言ってドリブルをして近づきながら、タオルを渡した後角度ごとに記録をつけていた紙をばーちょんに見せる修。



馬「どうも。後半からのシュート率は?」


「昨日に比べたら大分上がってるよ。いい傾向だ」


馬「ふーん…。でもやっぱ、左利きなだけに右からの確率は結構低いな」


「まぁ、それが普通だからな。でも、バスケの世界じゃサウスポーは希少だし、少なくとも相手のブロックタイミングを狂わせることはできるよ」


馬「ふぅ……だな^^ んじゃ、次は修の練習といくか」


「あぁ。1on1頼むぜ?」


馬「おぅ。今回こそは、止めてやっからな」


「ハハッ、そりゃ楽しみだ^^」


馬「今日は何セットいっとく?」


「とりあえず30で、その後シュー練やろうぜ」


馬「オッケ」



そう言った後スリーポイントから1on1を始めた2人。


球技大会本番に向けて、メンバーたちの気合は充分だ…―――




≪続≫