□第28話□
『球技大会』
高等部の生徒会室を借り、モニタールームで相手の試合を見たところで早速体育館へと戻ってきて、練習を再開する生徒会メンバーたち。
南「一昨日(おととい)と昨日1日で君たちの大体の運動能力は分かった。
なのでここからは早速勝つための作戦を立てていく」
龍「バスケットの戦術を練る上で一番重要なこと。…なんだか分かるか?」
漣「え?…そりゃやっぱDFじゃねーの?」
龍「うん、それもある。どれだけ自分たちが攻めて点を入れても、その得点をすぐに返されたら意味ないからな。『守って攻めるDF』それができれば最高だ。
…他には?」
健「やっぱOFでガンガン点取りまくらなあかんから、それぞれ技術つけやなあかんな!」
龍「確かに、得点力の高い徹と修だけでは、2人がマークされたときにその他で取る点数というのはぐっと下がるだろう。だからこれも半分正解。
…他は?」
雅「他…?」
漣「なんかあるか?」
健「さぁ…?」
「…まず、マークマンを決める」
龍「!…その通り^^」
漣「マークマン…って、なんだ?」
龍「自分は何番につくのか、どの選手を抑えればいいのか、相手の得意なスタイル、シュートフォーム、どの番号と連携してプレイをするのか。
それぞれが自分の相手を徹底的に調べて、まずそいつ自身を理解しなければならない」
南「マークマンは、基本的に身長やポジションなんかで決められやすいけど、ドライブの上手い選手とか、得点力の高い選手には、それ相応に順応の利く選手をつけなければならないんだ」
漣「なーるほど~…」
馬「相手のチームで一番怖いのは、4と5のコンビネーション。
それから…4、5、6のトライアングル速攻ですね」
龍「あぁ。だからその3人には、タイムを計測して足が速かった上位3人である、修、健太、そしてマサの3人を使おうと思う。
この3人は瞬発力や柔軟性も高いし、上手くいけば3人の得点力は6割がた減少するだろう」
漣「ヒュ~♪」
「「「……」」」
「それで…俺は、何番に付くべきですか?」
龍「…そこ。実はそれが一番難しいんだ」
南「6番は得点力があるから、攻守共に優れている修君を当てようと思ったんだが、4番もぶっちゃけ怖い。
PGでチームを支える大黒柱…言わば、ゲームメーカーとして一番マークしておかなければならない存在だからな。
健太君と連携して、君と彼を4と5に付けようとも考えたが…それだと雅貴君1人に負担がかかりすぎてしまう…」
雅「……」
「…なら、俺が6につきます。それで、もし他の奴らが抜かれた場合いつでもフォローできるポジションにいれば問題ないっしょ?」
龍「!…できるのか?お前に」
「ここまできたらできるできないの問題じゃないっすよ。やるかやらないかの問題です」
修のその言葉に他の全員がごくっと息を呑みながら、横目でチラッと修に視線を送る。
南「…オッケ。なら、修君には6についてもらって彼の速攻とOFを止めてもらう。
OFのスタイルは、できれば一番視野が広く、パスセンスとドリブルセンスが共に優れている君にPGをしてもらいたいんだけど、それでいいかな?」
「…それが、勝つための作戦なら、俺はやります」
「「「「……」」」」
龍「(まったく…本当に底が知れない奴だな、こいつは^^)」
馬「(…簡単に言ってるけど、絶対しんどいぜ…?
試合中、OFとDF共に気を休める瞬間がないってことだろ…。
精神的にかなり削られて、何よりリーダー1人に負担を掛けすぎだ…)」
南「幸いなことに、向こうはあまり高さに分があるチームではなく、体格的にも君たちとあまり変わらない。
だからここは思い切って、今回このチームは中で攻めるセンターは使わない」
「「「「「っ!」」」」」
「それって…」
南「…徹君、言っている意味が分かるね?」
馬「……」
南「君の頑張り次第で、チームの勝利が決まるといっても過言ではない」
南の言葉に全てを理解した修のクールな眼差しがばーちょんを捕らえるが、本人は黙ったままでじっと南先生の方を見つめているだけだった。
そんな中、状況を上手く飲み込めていない漣が南先生に向かって話しかける。
漣「…それって、一体どういう意味っすか?」
南「徹君と修君。そして、他の3人で中外のリズムを生かして、攻めてもらうということだ。
外で射抜き、中で決めるチームというのが、対処に一番困るチームだからな」
漣「なーるほど。つまり、俺らで最初中掻き回しといて、そこにDFが集中したら、ばーちょんのスリーかミドルレンジのシュートで決めて、DFを外に広げるってわけだ」
龍「その通り^^ 外にDFを広げればお前らも攻める範囲が増えて、ガンガン突っ込んでいけるからな」
健「おぉっ、すっげー♪なんかテンション上がる~!」
漣「ばーちょん頑張れよ~♪俺の出番を増やすために(笑)」
南「…できるか?徹君」
馬「できるできないじゃないんでしょ?それであいつらに勝てるなら、俺はやりますよ。
負けるのだけは嫌なんでね」
漣「おぉっ!絶対ぇあいつらに勝つぜ!」
「「「「オォッ!!」」」」
龍「(まったく…本当にたいした奴らだ。よくもここまで、負けず嫌いが揃ったもんだな…)」
「じゃあ、俺と徹の仕事が決まった今…時間が惜しいので、早速俺らは練習にいきます」
龍「!…あぁ、そうだな。試合の行方はお前ら2人の力にかかってる。
頼んだぞ?」
「「はいっ!」」
「行こうぜ、徹」
馬「あぁ…」
そう言ってボールを持ってコートの方に向かって歩いていった2人。
その2人に視線を向けた後、他の3人はうずうずしながら南と龍先生の方に視線を向けている。
健「先生!んで、俺らの役割は?」
漣「早く教えてくださいよ!」
雅「動きたくてうずうずしてんスから」
南「そうだな…。ゲームメーカーが決まった今、他の3人に求められるのはガンガン突っ込んでいく得点力の要であるフォワード2人と、修君の手助けをするガードの存在だ」
健「!フォワードと…」
漣「ガード…」
龍「この中で一体誰がそのポジションに相応しいか分か…」
漣「ってことは、タイプ的に俺がガードか…」
雅「俺がフォワード…ってことは、もっとOFの技術を上げないとな…」
健「修とのコンビネーションを生かすためにも、速攻狙わんと…」
龍が全てを言い終える前にその場にあぐらを掻きながらブツブツ言っているメンバーたちの様子を見て、きょとんとした表情を浮かべる2人。
そしてお互いに顔を見合わせて、フッと笑った。
龍「どうやら、自分たちの役割は分かっているようだな」
南「ですね^^」
龍「(欲を言えば…もう1人経験者がいれば、修をフォワードに持ってきてガンガン点を取れるチームになるんだがな)」
漣「よーっしゃ!んじゃあ役割も分かったことだし、早速練習と行こうぜ」
健「おぅっ!」
そう言って馬場たちとはまた違うコートに2人一緒に向かっていった漣と健太。
そんな中、1人その場に黙って考え込むように座り込んでいたマサが、暫くして龍先生に話しかけた。
雅「…先生」
龍「!…なんだ?」
雅「このチームで、勝つために俺ができることはなんですか?」
龍「……」
雅「俺の…俺だけの、武器がほしいんです。…教えてください」
龍「……」
それぞれの役割がようやく見えてきて、俄然気合が入る生徒会メンバーたち。
そんな中、チームのためにマサがずっと考えていたこととは…。
そして龍が出した答えは…?
この続きは次回で。
≪続≫