□第22話□


『海での過ごし方』



+--マサの場合(ある意味修も)--+



雅「(いいねー、この白い砂浜。それに青い海。
なんか新しい詩のインスピレーション浮かんできそう…♪)」


と、そんなことを考えながら浜辺を歩いていたのだが、その思いは数秒で崩されることになる。



「あのー…///」


雅「ん?(…またか…)」



目の前には水着を着た少し年上気味の女性が3人。


決して表情には出さないが、心の中でもう何度目になるか分からないその言葉に、心底いやそうな顔をするマサ。



雅「なんでしょうか?」


一応もしかしたらナンパ以外かもしれないので、優しく笑顔を浮かべながら聞くマサ。


しかし数秒後、その淡い期待はもろくも奪われることになる。



「もしよかったら向こうで私達と一緒に遊びませんか?」


「それか『海の家』でお茶でも///」


雅「…あー、すいませんけど俺今知り合いと来てるので…」


「じゃあ、そのお友達さんも一緒に!」


「私達も3人ですし、お友達さん連れてきてくだされば一石二鳥じゃないですか?」


雅「いや、でもやっぱちょっと…」



そう言って苦笑いを浮かべながら遠慮気味に手を前に出して断るマサだが、中々諦めないのが団体の女子というもの。




「あ、お金なら私達が全部払いますので!」


「一緒にお茶しましょうよ♪」


雅「あぁ、いや…別にそういうわけじゃ…。
(あー、困ったなぁ~…。こういうときどうやって断ればいいんだろう…)」



そんなとき、ふと出てきた他の生徒会メンバーたちの姿。



健『そういうときはガツンと言ったればえぇねん!』


雅「(それが言えれば苦労はしない…)」



修『適当に彼女と来てるとか言えばいいんじゃね?』


雅「(俺にはそんな器用な嘘をつく技量はない…)」



漣『そんなもん一緒に遊べばいいんじゃねー?んで、メルアドは絶対ゲットな♪
なんなら俺も一緒に…』


雅「(この人を思い出すこと自体間違いだった…)」




…ばーちょんならどうするかな…。




雅「(んー……。!あぁ、そっか)」


そのとき、何かいい案が浮かんだのか、心の中でポンッと手を打つマサ。



雅「別にいいですけど…」


「「「本当ですかっ?!」」」


雅「はい。じゃあ、俺の友達ですけど…あれと一緒でも良いですか?」


「「「?」」」」



そう言ってマサが指差した先には、お世辞にも普通とは言えないヲタク系の気持ち悪い男の人2人組が、海の中の海草を持って何が面白いのか理解できない遊びをしていた。



4人で見ていたせいでさすがに気づかれたのか、ふいにこちらを向いた男2人組。



そして見事にバチッと視線が合ってしまい、目の前の男達は何を勘違いしたか意識されてると思いこみ、女の子達を見てニーッとあやしい笑みを浮かべ始めた。




「「「…キ、キャーーッ!!」」」



それを見てみるみるうちに表情が青ざめていき、女の子たちはその場から悲鳴を上げながら走り去っていってしまった。



それを見て、ちょろい…っと心の中で思いながらフッと笑うマサ。




馬『そういう場合は頭脳的プレーで逃げればいいよ。
たとえば、周りに居る人利用して向こうから遠ざけるよう仕向けるとかね』





雅「さすが、ばーちょん」



やっぱ頼りになるね。





心の中で浮かんできたばーちょんの声に感謝しつつ、少し喉が渇いたのかマサは海の家へと向かっていった。





***





『海の家』



「いらっしゃいませー」


雅「(うわー…結構混んでるな…。にしてもこの客の量に店員1人って少なくないか?)」



「ご注文はなんになさいますか?」


雅「あー…ジンジャーエールで」


「かしこまりました。少々お待…」(←くらっ…っと一瞬前のめりに倒れそうになる)


雅「だ、大丈夫ですかあせる?!」


「す、すみません…汗
一瞬立ちくらみが…。今日は暑いですしね…っ」


雅「…あの、店員さんって料理作ってる人とあなたの2人だけなんですか?」


「は、ハイ…今日はみんなバイトの子は都合が悪いらしくて、それで仕方なく…」


雅「……」


客「お姉さんこっち焼きそばまだー?」


客「ここ早く片付けてくんない?座れないんだけど」


客「カキ氷まだできないんですかー?もう大分待ってるんですけどー」


「す、すみません!すぐ伺いますあせる!
えと、ジンジャーエールですね。すぐお持ちしますね!」


雅「…あの」


「は、はい…?」


雅「もしよかったらお店手伝いましょうか?」


「え…?」


雅「店1人じゃ回んないっしょ?俺知り合いときてるんで、今から4人くらい適当に連れてきます」


「で、でも…っ」


雅「あー、バイト代とか別にいりませんから。悪魔でボランティアってことで。
それに…こんな中で1人働いてちゃあ、本当に倒れちゃいますよ?」


「////」



マサがそう言って優しく微笑みかけたのを見て、思わず顔を赤くして下をうつむいてしまった店員。




「ほ、本当によろしいんですか…?」


雅「はい。んじゃ、今からダッシュで連れてきますんで、それまでの間もう少しだけ頑張っててください」


「あ、あの!」


雅「はい?」


「ありがとうございますっ///」


雅「いーえ、どういたしまして^^ んじゃ、俺呼んできますね」



そう言って深々と頭を下げてお礼をしてる店員に笑顔を向けた後、マサは店を後にしてダッシュである人物たちを探し始めた。


向かった先は勿論、生徒会メンバーたちが集まっているところ。




***




雅「(えーっと修君修君……。!…ん?なんだ、あの人だかり…)」


まず最初に修を探すため海の近くをキョロキョロ見渡していたマサだったのだが、砂浜の近くにある人だかりができていることに気づき、急いでその場へと駆け寄っていった。




修「(…うん、完璧)」


そのとき修は、人だかりができている輪の中心で片膝を突いて座り込み、そりゃもう本当に自分で作ったのか伺いたくなるような超リアルな砂のお城を作っていた。


右手にはスコップが握られており、目はきらっと光っていて、その手をあごの上らへんに当てて満足そうに頷いている。



あまりの出来栄えの見事さに、中には携帯のカメラで写メを撮っている人たちもいた。





そんなとき、砂のお城に感動した5歳くらいの女の子が目をキラキラさせて修に近づいて話しかける。



「すごーいキラキラキラキラ私大きくなったらお兄ちゃんと結婚しゅる!」



修「ん?んじゃー10年後も今と同じ風に思ってたら結婚しょうな^^」


「うんっ!」


「じゃあ私たちは今すぐ…///」


「あ、私も///」


修「すみません間に合ってますので」(サラリ)




周りから上がったその声に容赦なくさらりとそう言い放ち、笑顔の断片すら見せようとしない修。


そんなとき、周りに集まった人垣を何とか掻き分けて、ひょこっとマサが顔を出した。





雅「…あ、やっぱそうだった。修君!」


修「ん?…おー、マサ。見ろ、俺の芸術作品」


雅「うわ、すごいね……って、ちがくて!!」


修「ん?」


雅「ちょっと修君も俺と一緒に手伝ってほしいんだけど」


修「あん?一体なにを…って」


雅「良いから、とりあえず来て!」


修「お、おいちょっ…マサ?!」



そう言って無理矢理修の腕を引っ張り、他のメンバーたちの下へと連れて行くマサ。


そしてその後、苦労したものの何とか全員同じ場所に集め、みんなの中心に立ってマサがことの経緯(いきさつ)を説明し始めた。




雅「…ってわけで、俺ら生徒会メンバー5人で、困ってるその店の人たちを助けようってわけ♪」


「なるほど。そういうわけね…」


健「ま、しゃーないな」


馬「どうせ暇だしね。(しかしまさか本当に店員をする羽目になるとは…)」


漣「えぇー?やだよ、メンドクセー。俺は海に生きるぜ!?」


雅「まぁ聞きんしゃい漣君」


漣「…んだよ?」


そう言った後、漣の首元に自分の腕を回してごにょごにょと何かを耳打ちするマサ。

その様子を頭に『?』を浮かべながら興味深そうに見つめるほかの3人。



そして数秒後、キラッと目を光らせてマサにグッド!サインをしたあと、いきなり漣が他の3人に向かって声を上げた。



漣「おっしゃ野郎共!ここは人助けと思っていっちょ俺らが一肌脱いでやろうじゃねーか!?」


健「な、なんや一体…汗」


「お前あいつに何言ったの?」


雅「ん?別に^^ そこの店員さん、すっごく美人じゃよって言っただけ」


健「(こいつ段々漣の扱いうまなってきよったな…)」


「(騙されてるとも知らずに哀れな…)」


馬「(マサがうそつくときは方言使うって忘れたのかあいつは…)」


漣「ハァーハッハッハーッ!海の家が俺を呼んでるぜー♪」


「「「…はぁ~…(おめでたい奴…)」」」




と、いうわけで。

何はともあれ最終的に5人全員で店の手伝いをすることになった生徒会メンバーたち。



果たして立派に店の手伝いはできるのか?

この続きは次回で。


≪続≫