かのブルーノ・タウト(ドイツの世界的建築家)が
「日本建築の世界的奇跡」と称した
桂離宮。
なかなか予約が取れないことでも有名で、
行きたいところリストに長年居座り続けていた。
嵐山を目指して車を走らせていたら
『桂離宮』の看板が目に留まり、ふいに立ち寄ってみた。
幸運にも当日受付で入ることが出来た。
あいにくの雨
という言葉は京都には不要かもしれない。
ましてや、桂離宮には・・・
なるほど
此処だけで京都を訪れた目標は十分達成出来たと言えるほど
完成度の高い庭園だった。
十二分に作為的でありながらいやらしさが無い。
繊細さと大胆さの程よいバランス。
日本文化の本質は、“簡潔”、“明確”、“清純”にあると言うタルト。
桂離宮は、その本質を見事に体現しているということか。
「…今日までの憧憬は余すところなく充たされた。
--泣きたくなるほど美しい印象だ。
……背後に無限の精神を蔵しているこの関係の豊かさに最初は息づまるばかりの感じであった。
……なんという高雅な釣り合いであろう。
・・・すべてのものは絶えず変化しながらしかも落ち着きを失わず、また控えめである。
…眼を悦ばす美しさ、眼は精神的なものへの変圧器だ。
日本は眼に美しい国である。……」
(『日本 タウトの日記』、九三三年五月四日、篠田英雄訳)
八条宮家に姫君を嫁がせた加賀藩の莫大な財力により造成された桂離宮。
先日の金沢への旅が此処へ引き寄せたのかもしれない。
泣きたくなるほど美しい
そんな風景を
私はまだまだ見てみたい。
私の憧憬は
どんどん膨らんでゆく。
限りなき希求憧憬の情を走らせながら
私の旅は続く。