「絶対にもう結婚なんてしない」

と思っていた男と

 

「絶対にもう結婚なんてしない」とも

「絶対にまた結婚してやる」とも

思っていなかった女が

結婚した。

 

 

ふたりは既に生活を共にしていたので

籍を入れても入れなくても

どちらでも構わなかった。

 

 

 

実質がふたりには大事だったから

紙切れ一枚のことなんて大した話じゃなかった。

 

 

 

 

でも敢えて入籍を選んだのは

苗字のことだった。

 

 

 

旧姓と同じくらい

四半世紀も馴染んだ苗字。

 

 

 

とても気に入っている苗字だ。

瀧村 めぐみが

既に私のアイデンティティーとなっていた。

 

 

 

が、しかし

 

子どもたちが成人し

親子で苗字が異なる不都合もさほど感じなくなった今

元夫の苗字を名乗り続けることの所在無さと言ったら。

 

 

 

 

元夫と別れてからの経験が

瀧村 めぐみを

彩り豊かに肉付けしてくれた。

もはや今の私と切っても切れない

とても愛着のある名前だ。

 

 

 

 

だからこそ

 

 

 

結婚生活の間に

一生分の愛を惜しみなく与えてくれた

元夫への感謝と

 

その愛に応えられなかった

せめてもの償いと共に

 

「瀧村」という苗字を

手放そうと思った。

 

 

 

 

さようなら

 

瀧村 めぐみ

 

 

ありがとう

 

瀧村 めぐみ

 

 

 

 

re−born

 

 

 

 

人は

何度でも

生まれ変われる

 

 

 

 

 

 

はじめまして

 

 

 

広瀬 めぐみ

です。

 

 

 

 

 

どうぞ

よろしくお願いいたします。