綾辻行人さんの
【眼球綺譚】
全7話のオムニバス形式です。
3話目の『特別料理』
実は初めから何となく読めた。
特殊嗜好を持つ『私』は妻をも巻き込み、独特の嗜好を重ねていく。
よぅは
『ゲテモノ喰い』
『イカモノ喰い』
『悪食』
それらは、この社会の制度的圧力下で実現しうる真の芸術の一形態である。
常識、すなわち制度的な思考からは逸脱するようなモノを食べる、それが芸術精神。(本文より一部抜粋)
苦学生だった頃の『私』が、カレーに混じったゴキブリを食した事から始まる。
おぞましさより、客観的に観て、それを食した『感激』がその後先行する。
ゴキブリに始まり、ナメクジ、バッタやトンボ、カエルやクモにネズミ……。
止まる事を知らない『私』の嗜好は、【YUI】と言う名の特別料理屋で、頂点を極める事となる。
哺乳類の半生雛料理や、昆虫類の生焼け。
内蔵から本体まで。
ありとあらゆる生き物の食仕方に嬉々とする『私』
全編に共通して登場する『由伊』が【YUI】で紹介する料理は。
ランクC 『寄生虫』
すでに【YUI】での料理の虜になった『私』は禁忌を犯す。
ランクB 『人体(内蔵を含む)』
そして。
ランクAは。
最も新鮮な素材として、なおかつ"愛"の対象としても特別な意味を含み持った素材。
すなわち、"自分自身"
簡単な手術をし、切り落とした我が指を、『私』は食す。
自分自身を食べている、と言う感動に感激する『私』
【YUI】からの帰り、舌舐めずりをする『私』の発言には、いくつかの読みがあるけど…。
正直、グロすぎる。
序盤からグロいし。
序盤から終盤を予想できたけど。
我孫子毅丸さんの、【殺戮に至る病】と同じくグロかった…。
全部が全部、グロいわけではなく。
『由伊』とそれぞれの『カタチ』が織り成す【眼球綺譚】は、ミステリー、ホラーも織り込みつつ、幻想的な作品ばかり。
怪奇と幻想をこよなく愛する綾辻氏。
独特の世界観は他者を凌ぐ才能を持ち合わせている様な気がする。
何度読み返しても楽しめるのは、綾辻氏の情感溢れる稀有な表現力もあるんだろうな。
ベタ誉めは、私の個人的な好み・ひいきなので、それぞれ思う・感じるとこは違うでしょう。
違った解釈をされる方もいらっしゃる事でしょうが、そこは悪しからず。
ちょっと、誇張して紹介してしまった節があったら、ごめんなさぃ(^-^;