今年もまた…
母の命日を迎えました…
二十数年前、突然逝ってしまいました
数日前から体調を崩し寝込んでいた母
心配しながらも、私は職場の社員旅行へ出かけてしまいました
出かける前に、母の様子を見に行き
前日買っておいた、リンゴジュースを飲ませました
ゴクゴク…喉を鳴らせて飲む音が、今でも私の耳に残っています
近郊の温泉地で、宴会をしている最中
兄から電話がかかってきました
『母さん…昼間、救急車で運ばれたぞ
先生は、大丈夫だから帰って良いって言うんだけど…
意識も朦朧としてるし、唇が紫色になってきてるんだ…
オレはあぶないと思うから、今すぐ帰って来い』
兄の友人の車で、兄嫁が迎えに来てくれることになりました
1時間ほどのあいだ、部屋で一人待つことになりました
お母さんが死ぬかもしれない…
黙って座ってられなくて、部屋を歩き回っていました
時間がとても長く感じられました
山の中にある、ホテルの窓から外を眺めてみました
真っ暗な闇に、吸い込まれそうな…
ここから墜ちたら…どうなるんだろう…
落ち着かない自分の鼓動が、聞こえてしまいそうなくらい静かな夜…
フロントから呼ばれて、ロビーに降りると
兄嫁が泣きながら、
『お義母さん…ダメだったの…』
二人で抱き合って泣きました…
わが家に戻ると、親戚がすでに集まっていました
畳の上に布団が敷かれ、母が寝ています
母の顔には、白い布が掛けられていました
そっと白い布を外しました
きれいな顔の母が、微笑んでいるように見えました
私は…大きな声を上げて泣いていました
数日前まで、あんなに元気だったのに…
うそだよ…死んでないよ…
きっと起き上がってくれるよ…
父と兄から、母の最期の様子を聴きました
休日の当番医に運ばれたものの…
兄が私に電話をくれた時、
お医者が、お酒臭かったことも…
母は、私には連絡するなと言っていたそうです
せっかくの楽しい社員旅行に、水を刺したくないと…
意識が遠のくなか、
母は、離れて暮らしている私の妹の心配をしてました
そして…
『お姉ちゃんが飲ませてくれたリンゴジュース…
美味しかったなぁ…』
私は、母を助けられなかった、重い十字架を背負って生きてきました
子どもを生み親になって、
あの頃の母の気持ちが、ほんの少し…分かってきたように思います
生み育ててくれた感謝の想いも…
母に心残りがあるとしたら…
まだ嫁に行っていなかった、私と妹のことでしょうか
数年後に二人とも結婚し、
私は男の子二人に恵まれました
一人でガンバってる、今の私の姿を見たら
母は何と言うでしょう…
あの頃、母が良く私に言っていた言葉
『お姉ちゃん…疲れてない?
ガンバリ過ぎじゃないの?』
そんな優しい母の言葉が聴こえてきそう……
最後まで読んで頂きありがとうございます(*^_^*)