ヒーロー協会のビルにタツマキが到着した。タツマキは玄関から中へ入っていった。そこには誰も居なかった。受付嬢すらいない始末だった。

タツマキ:「ちょっと~、誰も居ないってどういうことよ!! 私を呼んどいて迎えの者も居ないなんて、どうなってんのかしら? 失礼じゃない・・・」

タツマキ:「フブキも、あの馬鹿もいないわね。もういい、私帰る!!」

タツマキが玄関に向かって歩き始めた瞬間だった。

「待ってくれ!!」

後ろから声が聞こえた。

タツマキ:「誰よ?」

タツマキは振り向いた。

「俺だ、タツマキ!! 久しぶりだな・・・」

その男の身なりはダーク色のビジネススーツで、オールバックに眼鏡を掛けたバリバリのビジネスマンというような風貌だった。

タツマキ:「・・・って誰?」

軽くずっこけた謎の男。

「おいおい、俺だよ!!」

男は中腰になってタツマキに顔を近づけた。

タツマキ:「あなたは・・・って、やっぱりわかんないわよ!!」

「おい!! 俺だ、俺!! ぶっ」

ガタン!!

物陰から大きい音がした。

タツマキ:「誰かそこにいるわね? 出てきなさい!!」

物陰から冴えない白髪の男が出てきた。

「タツマキ・・・元気にしていたか?」

タツマキ:「なんだ、そこにいたのね。で、今度は何の用? 前みたいにまたお金を無心しにきたんじゃないでしょうね~?」

その白髪の男とは、昔タツマキを超能力の研究機関に売った育ての親だった。タツマキがヒーローとして活躍し始めてから、時たまお金を無心に来ていたらしい。

白髪の男:「いや、今日は違うんだ。実は頼まれてお前の本当の父親を連れて来た。ほら、その人だ」

白髪の男は、謎の男の方へ手を向けた。

タツマキ:「まさか・・その話本当なの? あなた名前は?」

タツマキは謎の男の方へ視線を移した。

謎の男:「俺か、俺の名はブラストだ! 思い出したか?」

タツマキ:「え~!! あんたがあのブラストなの!? 嘘でしょう!? 見た目は普通の冴えないおじさんじゃない!? 子供の頃と会った時とイメージが全然違う!! というか、あんたが私の本当の父親って、まさか・・・」

ブラスト:「おいおい普通の冴えないおじさんはないだろう。あっそうか、たしかあの時はヒーロースーツだったな! 分からないのも無理はないな・・・」

タツマキ:「あ~も~!! 今更何よ! あのブラストが私の本当の父親だとしても、どうして幼い私やフブキを捨てたの? あんたがこいつになんか私を預けたから、こいつのせいで私は研究所に売られて酷い目にあったのよ!!」

タツマキは育ての親へ指さしたが、その目には涙が光っていた。

ブラスト:「それは本当にすまなかったと思う。今更許してくれとは言わないが、あの時はしょうがなかったのだ・・・」

衝撃の事実が発覚した。あのヒーロー・ランキング一位のヒーロー、ブラストはタツマキとフブキの本当の親だった。ブラストの正体には謎がまだまだありそうだ。

その3へ続く。