ムクドリの眼をした少年 | clover chronicles Ⅱ

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ムクドリの眼をした少年 / five beans chup
            Album「The First Day Of Summer」

早起きした夏の日の始まりは
暗い子宮の中のように安らか
リアリティーに引き戻されるのなら
ヒエラルキーLEGOを破壊し尽くそう

イヌムギやメヒシバたちの草むら
汗ばむパイル地のボートネック
わざとらしくぎくしゃくと差し出すさ
薄荷チョコ ほらね嘘じゃないだろう

新しい地図 作るための 無限のヒントを
空を飛ぶ夢 見るための 無償の甘いキスを


衝動と思慮 どっちつかずのまま
なんにしろまだ降りる気はないよ
クレゾールの割れた瓶につまずき
流れる血 クリネックスを2枚

新しい地図 作るための 無限のヒントを
空を飛ぶ夢 見るための 無償の甘いキスを

柔らかな乳房 肌色の雲を 風が




小学3年生の夏休み、空き地で僕たちはよく「火遊び」をしていました。
背の高い雑草の生い茂る、かなり広めの空き地。
それはKくんという、かなりのマセガキを中心にいつも4人くらいで行われ、
メンバーはKくん以外はやや流動的なものでした。

材木や枯れ草、その辺に落ちてるひからびた週刊誌(何故かそこいらによく捨てられていた)
とかを集めて、穴のあいた錆びた一斗缶に入れ、まずKくんがオイルをかけてライターで
火をつける。
100円ライターみたいのじゃなくて、金属製のZIPPOライター。
茂みに隠してある鉄製のボコボコに凹んだ両手の鍋をセットして、ファンタグレープの
空き缶でどぶ川の水を汲み、鍋に流し入れる。

煮立ってきたら、鍋にイヌムギやメヒシバ、ギシギシなどの雑草を加え、さらにメンバーたちは
思い思いにその中にモノを入れていきます。

ある時にはそれは食べ残したヒーローもののスナック菓子であったり、噛んで味のなくなった
オレンジのガムであったり、油粘土であったり、そしてまたある時には、草むらで捕まえられた
小さな××類が小学校低学年の男の子特有の残酷さをもって、そこに投入されました。

その後、角材や水道パイプの切れ端で鍋をかきまぜながら、少年たちの会話は特にはずむ
こともなく、ただダラダラと汗をかきながら日暮れ近くまで空き地ですごします。

やがて火が弱くなったら、決まりのようにみんなでその鍋の中にオシッコをして、
そして最後に Kくんが鍋を蹴飛ばして、ジューッていう音がしておしまい。

なぜそんなことをしていたのか、今となってはよく思い出せないのですが、とにかく何日か
おきに、空き地でそのようなことが行われていました。

「ムクドリの眼をした少年」はそんな少年たちの歌です。

そのうちKくんがタバコや爆竹を持ってくるようになり、僕はなんだか少し怖くなって、
もうその空き地には行かなくなりました。

4年生になって僕は転校してしまったので、Kくんとはそれ以来1度も会っていません。
どうしてんだろ。

My Space ムクドリの眼をした少年

メヒシバ
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イヌムギ
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