時代と寝た男 | clover chronicles Ⅱ

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b-flower・Livingstone Daisy 八野英史の音楽年代記 クローバークロニクル2

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Low / David Bowie

デビッドボウイの1977年リリースのロウ。
70年代のボウイはどのアルバムも好きですが、大学の時にやってたバンド
(81~82年頃かな)でこのアルバムから「Speed Of Life」 をライブのレパートリーに
したりしていたので、なかなか思い入れが深いです。

70年代中盤~80年代初頭のデビッドボウイは、音楽もビジュアルも常に先鋭的で、
僕の周りのロック好きの友人もみんな新しいアルバムが出るごとに驚きをおぼえ、
やがてそれは称賛へと変わるという、かなりスリリングな楽しみを味わっていました。

常に時代の2歩くらい先を走ってたので、とにかく何をやってもかっこいいという状態。

ところが1983年、そんな彼が時代にピタッと照準を合わせたアルバム
「Let's Dance 」をリリース。
この「時代にピタッと照準を合わせた」(阿久悠さんの言葉を借りると「時代と寝た」)
というのは素晴らしい才能で、実際、僕はこの「Let's Dance 」というアルバムも、
それまでの彼の音楽とは別の意味でとても好きで、よく聴いていました。

もちろん世界的大ヒットを記録するわけですが、ただなぜかそれ以降、僕は彼の音楽の
熱心なユーザーではなくなりました。

勘違いしないで欲しいのですが、このブログで紹介してる音楽が激しくマイナーだから
といって、「売れてる音楽が嫌い」という訳では決してありません。
その最たる例として、僕はビートルズが大好きです。
むしろ売れてない音楽にはつまらないものが多いとさえ思います。

じゃあ、なぜあれほど崇拝していたデビッドボウイのことが「普通に好き」
くらいになってしまったのか…。

それは「時代との寝方」とでもいうのでしょうか。

やっぱり僕は偏屈なんだと思いますが、ただひとつ言えるのは、売れていようがいまいが、
マニアの評価が高かろうが低かろうが、僕自身のその音楽に対する好き嫌いの感情には
全く影響がないということ。

みなさんもきっと感じていると思いますが、音楽を聴く上で、
この「本能的で自分勝手な判断基準」はとても大事ですよね。