にゃんにゃん。

翔早くでてこないかな?

 

 

またこのおもちゃで遊びたい!

おいらの今のお気に入りは

この猫じゃらし!

 

 

猫じゃらし持って待ってるのに、

翔がなかなかお風呂から出てこない。

 

 

お風呂に入る前に、

冷えるとダメだからとかって、

床をぬくぬくにしてくれた。

 

 

ゆかだん?っていうんだっけ?

この床はあったかくて、

ん〜〜、ダメだ・・・眠たくなってきちゃった。

 

 

 

「・・・くろねこのさとちくんって、

きみのことでしゅか?」

 

 

ん?

 

 

今声がした?

 

 

目を開けると、

人間の男の子かな?

おいらのことを笑顔で見ている。

 

 

もしかして、

おいらあのまま寝ちゃってて、

今夢見てる最中?

 

 

「きっと夢だ。そうに違いない。

だって・・・」

 

 

なんか変だもん。この子・・・浮いてる?

 

 

「あ、ゆめじゃないでしゅよ。

ちゃんとおきてくだちゃい。

くろねこのさとちくんにおとどけものがあっちぇ、それをとどけにきたの」

 

 

え?

なんで?

 

 

「ん?なんでことばがわかるのかっちぇ?

おいら、おにいさんようせいだもん。

おにいさんようせいのさとちっていいます。」

 

 

「・・・さとち?

おにいさんようせい?」

 

 

「ちがいましゅ、さとちです」

 

 

え?だからさとちでしょ?

 

 

「あ、いそがないと、でてきちゃう。

このせかいのまじょしゃんに、

あのおおきいおにいちゃんがでてくるまでに、

さとちくんにわたちてってたのまれたんだった」

 

 

・・・おいらに?

 

 

「にゃん?なにかくれるの?」

 

 

「うん。

くろねこのさとちくんは、

あのおおきいおにいちゃんのこと、ぎゅっとちてあげたいんでしょ?」

 

 

え?なんで知ってるの?

この前翔とお月様みて、

心の中で思ったことなのに。

 

 

「はい、しょうたいじょう」

 

 

「しょうたいじょう?」

 

 

「わんだーらんどのしょうたいじょうです」

 

 

「わんだーらんど?」

 

 

「はい、このしょうたいじょうで、わんだーらんどにいって、

あのおおきなおにいちゃんのことぎゅっとしてあげてね」

 

 

してあげたいけど・・・

 

 

「え?でも、おいらこんなにちいさい。

翔を抱っこするには、このままじゃ・・・」

 

 

「ああそっか、たちかにそうでしゅね。

じゃあ、おおきいおにいちゃんとおなじにんげんになっちゃえ。

わんだーらんどは夢の国、きっとさとちくんのねがいがかなう」

 

 

「なっちゃえって・・・どうやって?

それに翔は・・・、

今のおいらが可愛いっていってるの。

おいらが人間になったらいやかも。

きらいになるかも。そんなのやだ」

 

 

「う〜ん、じゃあ、きめてもらお!

このしょうたいじょうにないしょのおまじないかけてもらうね」

 

 

「おまじない?」

 

 

「うん!ちょっとまってて」

 

 

おにいさんようせいさんが、

誰かとお話ししてる。

けど、誰と話しているのか

おいらには見えない。

ようせいさんって、なんかすごい。

 

 

「はい、これでだいじょうぶ。

このしょうたいじょうをね、じかんがきたら、

あのおおきなおにいちゃんにわたちてね」

 

 

「時間が来たら?」

 

 

「んふふ、ちんぱいちなくちぇだいじょうぶ。

じかんになっちゃら、しょうたいじょうがおちえてくれるから。

このしょうたいじょう、あのおにいちゃんにはみえないようにおまじないもかかってるから、

さきにみつかることもないよ」

 

 

「しょうたいじょうが?」

 

 

教えてくれる?どうやって?

しかも翔には見えない?

今目の前にちゃんとにあるよ。

 

 

「うん!じゃあ、さとちくん、

たのしんできちぇね。おんなじおなまえだから、

またあえるかも。またねぇ」

 

 

「え?・・・ええ??」

 

 

にっこり笑うおにいさんようせいさんの周りが光って、

眩しくて目をつぶっちゃって、次に目を開けたら、

もういなくなっていた。

 

 

のこっているのは、

届けてくれたしょうたいじょう。

 

 

「ん?さとしー、

どうかした?なんかあった?

めっちゃ鳴いてたね」

 

 

「にゃ!にゃあにゃあ!!にゃにゃにゃん!!!!」

 

 

「え?え?落ち着いて。

あ、猫じゃらし。

そうか、遊びたくて待ってたのか」

 

 

そうなんだけど、

さっきね・・・あれ?

 

 

お気に入りの猫じゃらしのすぐ隣に、

あるんだけど?

 

 

「にゃあにゃあ!」

 

 

「わかったわかった。

ほらこい!さとし!」

 

 

もちろん遊ぶけど、でも・・・

 

 

ねえ、翔、

このしょうたいじょう、

本当に見えてないの?