「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・怒ってる?大野さん」


さっきから何も話さないで、
まっすぐ前に見て、俺にされるままになってる大野さんに、
そう聞いた。


「え?」


顔を上げた大野さんは、
泣きそうで・・・


「みんなの前で、
翔さんの前であんなことした俺のこと、
怒ってる?」


「・・・怒ってない。びっくりしただけ」


そう言ってふふって笑う大野さん。
怒ってないなんて、嘘だ。
大野さんからそっと離れる。


「・・・翔さんに、
俺とのこと誤解されたくない?
翔さんだって誰かにしてるかもしれないよ?
大野さんじゃない誰か・・・」


言いかけてハッとした。


俺の言葉で、
さらに大野くんの顔が曇った。
でもすぐにまたふふっ笑う。


「翔くんはかっこいいもんね。
翔くんにそんな相手がいないわけない。
きっと翔くんには、可愛い女の子が・・・」


その笑顔が見てられなくて、
俺は大野さんをぎゅっと抱き締める。


「・・・ごめん」


「ふふ、何で松潤が謝るの?変なの?
ほら、早くいこ」


俺の腕の中で、
必死に笑顔を作る大野さん。


こんな顔させたくないのに、
こころからの笑顔が見たいのに、


・・・・・
・・・・・


振り付け中、
大野さんと翔さんが話すことはなかった。


けど、お互いを気にしてて、
じっと見てるんだけど、視線が合いそうになると、
どちらかがすっとそらす。


その度、大野さんが・・・


俺のせいだな。
大野さんにそんな顔させたくないのに


大野さんを笑顔にする方法、
俺、知ってる。


「・・・松潤?
どうした?気分悪い?
いつもと動きが違う。少し休む?」


何でだよ。
何であんたはそんなに優しいの?
今、落ち込んでるのあんたでしょ?


・・・気分?
悪いよ。だって・・・


きっとニノに笑われるだろうな。
そんで相葉くんも一緒になって、
俺のことやっぱりヘタレって言うだろう。


けど、いいよ。
ヘタレでいい。
あんたのためなら何にでもなってやる。


愚か者だっていい。
演じてやるよ。


あんたのために、
俺ができることは一つだけ


「・・・大野さん」


「ん?」


俺、笑ってるあんたが好き。
どうしようもなく、
あんたが好き。


・・・だからさ


あんたを幸せにしてやるよ。


「え?
ちょっと・・・まつじゅ・・・ん!」


俺は大野さんを、
ぎゅっと抱き締めた。