頼んでいたピザが到着し、

冷めないうちに食べることにしたんだけど、

翔くんは機嫌が悪い。

宅配のお兄さんにイイところ邪魔されたってブツブツ言ってる。






「ねえ?これ美味しいね。もう一枚食べていい?」


「・・・どうぞ」


「・・・翔くん‼︎」






おいらがでっかい声で翔くんを呼んだ。

その声にビクッと身体を揺らし、慌てて顔を上げる翔くん。






「え?あ、はい!」


「これ、注文したのは誰?」


「・・・俺です」


「そん時に到着時間聞いたのは誰?」


「・・・俺です」


「黙って食え!」


「・・・ごめんなさい」






おいらの言葉にシュンとして俯きながらピザを食べる翔くん。

テレビで見せる男前のお前はどこ行ったんだよ!

思わず吹き出してしまった。






「もう、笑うなよ、智くん・・・」


「だって、翔くんが可愛いんだもん!」


「な!可愛いのはそっちでしょ!

いい歳して、口の周り汚して食べてるくせに」






そういって、翔くんがおいらの口の周りを指差す。







「うっせえ!早く食べろよ。冷めちゃうだろ」


「はいはい」







翔くんが頼んでくれたピザはすごく美味しくて、

ぺろっと平らげてしまった。

ビールもそこそこ飲んでるから、すごく気分がいい。

おいらは立ち上がり、翔くんを見る。






「美味しかったね。ちょっと酔っちゃたかな?

それじゃ、おいら、そろそろ・・・」


「え?あ、あの・・・」


「シャワーしてこよっかな?借りていい?」


「ええ⁈・・・う、うん」




翔くんが頭をブンブン振って頷く。




「それじゃついでにパジャマもお願いね」


「あ!はい‼︎」






おいらがそろそろって言った時の不安そうな顔が一転、

上機嫌の顔に変わる。

本当分かりやすいな、翔くんは。






おいらは、いつもより急いでシャワーを浴び、

翔くんが用意してくれたパジャマに袖を通す。

やっぱりブカブカなのが気に入らないけど。




リビングに戻ると、テーブルの上がすっかり片付いていた。

キッチンから、翔くんが冷えたビールを持って来てくれる。





「ふふ、ありがと。お先でした。

翔くんも行って来たら?」



「え?・・・」





おいらはビールを持ったまま、翔くんの首に腕が絡めて、

翔くんをみつめる。






「・・・その方が、ゆっくりできるでしょ?」


「え?・・・・」





見る見るうちに耳まで真っ赤になる翔くんが本当に可愛い。

翔くんの顔が近づいてきた。

キスされる寸前で、離れる。





「もう!今、やら しいこと考えたでしょ!

ゆっくり酒が飲めるって意味だよ!」



「な!な!貴方、分かってて俺のことからかってるんでしょ!」


「ふふ、早く行ってきて。早くしないとおいら寝ちゃうよ?いいの?」


「え?ちょっとまって、急いで行ってくる」





慌ててバスルームに向かう翔くんの腕を掴んで引き寄せ、

ぎゅっと抱きついて、ちゅっとキスをする。






「・・・ベットで待ってるね」


「・・・ん。急いで出てくるから、寝ないで待っててよ?」


「さあ?どうだろ?」


「絶対起きてて!」





そう言うと慌ててバスルームに走って行く翔くん。

やっぱり、可愛いのは君だよ。