何で?

何であなたはそんなに翔さんのことが好きなの?

何で私のこと、見てくれないの?




翔さんの服を着たあなたは、少し恥ずかしそうで、

でもすごく幸せそうに笑ってる。

どうして?私じゃないんだろ?





あなたの大変な時に、

あなたを見つけるのはいつも翔さんで、

いつもおいしいところを持って行かれるんだ。




ふと、視線に気づく。

翔さんが外に出ろと目配せする。

私たちはじゃれ合う3人を残して、こっそりが楽屋を出た。





「・・・何の用です?」



「お前だな。智くんに俺と相葉ちゃんが付き合ってるって

吹き込んだのは」



「ふふ、何のことか分かりませんけど?」



「お前・・・」




翔さんの瞳が怒りの色に変わる。

でも、私も簡単には引けない。




だって、最初から勝負は付いてる。

こうでもしないと、あの人は私を見てくれないんだ。





「あなたは一度あの人から離れたでしょ?今さら何?」


「な!そうじゃない!俺は・・・」


「大野さんと距離を置いたのはあなたでしょ?」



「・・・お前は、相葉くんの気持ちに気づいてただろ?

なのになんでこんな今まで嘘をつき続けたんだ!」



「翔さんにも分かるでしょ?欲しいもんがあるから。

私は使えるものは何でも使うさ!」




そう言った目線の先に悲しい瞳をした相葉さんが立っていた。

私はビクっとした。

翔さんが私の視線に気づき振り返った。




「そろそろ時間だよ」




相葉さんがいつもの笑顔で笑って言う。
さっきの話を聞いていたはずなのに・・・




「お前、ここは怒るところだろ!何笑ってるんだ!」




「もうイイから、ね、翔ちゃん。

俺分かってるんだ。ニノが大ちゃんしか見てないのは。

だからもういい。もう俺も限界・・・」



「え?」



「ニノ、俺ニノが好き。ずっと前から好きです。

けど、もうやめる。俺の気持ちは届かないから。

だから、ニノももうやめよう?そんな傷ついた顔見たくない。

大ちゃんを苦しめたいわけじゃないでしょ?

大ちゃんの笑顔が好きでしょ?」





「・・・・・」





「ごめん、翔ちゃん、先に行ってくれる?

ニノとちゃんと話したい」





「ん。・・・分かった」




「・・・ニノ?」




「分かってたんですよ。いつかこうなるの。

悪あがきしても、無駄だって。でも、せずにはいられなかった。

あの人を簡単に諦められるはずがない。

相葉さん、あなたを利用してまでも、あの人が欲しかった。

こんなにヤツ、見限って正解だよ」





「ふふ、そうかもね。

・・・でも、利用されてるって知ってても、

ニノのこと嫌いになれないんだよね。俺バカだから」





「・・・あなたは本当大馬鹿だ」





いつの間にか涙が溢れていた。

相葉さんが私の涙を拭い、そっと抱きしめてくれた。

ああ、あったかいな。

私が泣き止むまで相葉さんはずっとそうしてくれてた。