仕事が終わり、家まで送ると言うマネージャーを、
予定があるからと断り、1人外へ出た。


外は土砂降りで、まるであの日みたいだった。
そう、初めて翔くんと身体を繋いだあの日・・・・









「はい!撮影は終了です。お疲れ様でした!」


「あーした!」


「ありがとうございました!」


翔くんと2人、ホテルの部屋での撮影だった。
二人ともこれで終わりだったから、この後飲みに行く約束をしていた。


帰ろうと部屋を出ようとした時、マネージャーから呼び止められた。
それぞれにキーを渡しながら、


「大野さん、櫻井さん。
外は土砂降りで、危険な状態です。もう遅いですし、
このホテルに部屋をとったので,今夜はここで休んでください」


「・・・マジか⁈」


「マネージャーは?帰れるの?大丈夫?」


「はい。僕は大丈夫ですので」


「んじゃ、まあ、お言葉に甘えて・・・。行こうか、智くん」


「え?あ、うん」


とってもらった部屋は7階だった。
30分後においらの部屋で、一緒に飲む約束をして別れた。


おいらは翔くんが来る前にシャワーを浴びることにした。
シャワーを浴び、備え付けのバスローブに袖を通してると、
部屋のチャイムがなった。


「・・・シャワー浴びてたんだ。ごめん。
もっとゆっくり来た方が良かったね」


「ううん。翔くん、どうぞ」


翔くんは部屋の入るなり、


「食べ物も頼むよね?お酒の種類も適当でいい?」


「ん。翔くんに任せるよ」


翔くんが手慣れた手つきでルームサービスに電話をしてくれた。
お酒が来るまで、おいら達は仕事の話に花を咲かせた。


お酒と料理は意外と早く来て、
とりあえず、ビールで乾杯した。


おいらは話の途中で翔くんが、
たまに目をそらしていることに気がついた。


「ん?どうかした?」


「え?い、いや、・・・何でもない」


「ふーん・・・あ、氷もう無いね。取ってくる」


おいらは立ち上がった瞬間、バランスを崩した。
そのまま倒れそうになったとこを翔くんに抱きとめられた。


「・・・ご、ごめん!おいら、飲みすぎちゃったかな?」


「・・・・・」


「ふふ、翔くん、もう大丈夫だよ。ありがと」


翔くんは何も言わず、おいらを強く抱きしめて来た。


「・・・え?」


「ねえ?智くん・・・しよっか?」


「え?・・・何を・・・?」


おいらが言い終わる前に、抱き上げられ、ベットへ投げ込まれた。
ビックリして起き上がろうとしたところを、
翔くんにベットに縫い付けられた。


「しょ、しょうく・・ん?」


「・・・貴方が悪いんだよ?
・・・俺の前で、そんな無防備な姿を晒すんだから・・・」


翔くんがおいらの唇を指でなぞりながら言う。


「何いって・・・んんっ・・ちょ、ちょっと・・」


「うるさい・・・もう、だまって・・・」


おいらは翔くんに唇を奪われた。
少しの隙間も逃さず、翔君の舌がおいらの中に入って来て、
おいらの舌に絡んで来た。


抵抗する手を強引に顔の横に押さえつけられる。
ふと翔君と目があった。


翔くんは今にも泣きそうな、悲しい目をしていた。
おいらは抵抗するのを、





やめた。


















気がついた時は、もう朝だった。
翔くんの姿はどこにもない。


・・・もしかして、昨日の出来事は、
夢だった?


おいらは怠く感じる身体を起こし、
シャワールームへ・・・


バスローブを脱ぎ、
鏡に映る自分を見て驚いた。


昨日の出来事はやっぱり夢じゃなかった。


おいらの身体のあちこちに、


君の残した赤い印が、
散りばめられていた。


ふと、昨日の君の言葉がよみがえる。





「・・・智くん、これは、2人だけの秘密・・・だよ」