例えば素直にこの気持ちを貴方に伝えてたら、
こんなことにはならなかった?


好きだ、愛してる、離したくない・・・


言いたくても今はもう言えない。
・・・俺がそうしてしまったんだね。


貴方の背中には大きな綺麗な翼があって、
自由にどこへでも飛んで行ける。


あの大空を自由自在に。


そう俺をおいて、何処へでも。


置いて行かれるのが怖くて、
貴方が誰かのモノになるのが怖くて、


その大きくて綺麗な翼を、
俺が折ってしまったんだ。


小さな鳥籠に、
逃げ出せないように鎖で繋いで・・・



望んだ未来は、
こうじゃなかった。


貴方を大切にしたいと思ってるのに、
優しくしたいと思っているのに、
上手く出来ない。


傷つけたくないのに、
傷つけてしまう。


好きなのに、大好きなのに、愛しているのに、


まだ間に合うかな?
貴方に届くかな?


言いたいことは山ほどあるのに、
何も伝えられず、
ただ身体を繋ぎ、欲望を貴方の中に吐き出す。


身体だけの関係を、
いつまで続けるんだ。



心が悲鳴を上げる。



この矛盾を誰か・・・













「智くん、今夜空いてるよね?
いつものとこで待ってるから」


「え?あ、あの・・・今夜は・・・」


「ん?あ、そう。来れないなら、もういいや」


「ま、まって!翔くん!行く、ちゃんと行くから・・・」


「ふふ、じゃ、また、後でね」


「・・・うん。あとでね、翔くん・・・」









また繰り返す。


貴方の身体を本能のまま貪る。


貴方の声に、仕草に、香りに、


もう我慢できない。


たまらない。



貴方と今夜も、





・・・堕ちていく。