「あ、大野さん、こっちこっち、もう遅いよ。
遅いから、ニノが勝手に始めちゃってるよ」


「・・・この人待ってる時間が勿体無いでしょ?
だいだい揃ってるんだから、イイじゃん」


「もう、15周年のお祝いだぞ!嵐は5人で嵐なの‼︎」


「ふふ、相葉ちゃん、ありがと。でもおいらのこと待たず、
始めていいのに・・・」


「ハイハイ。それじゃみんなグラス持って、
ほら、智くん、乾杯の挨拶お願い」


「え?あー、んじゃ、15年間お疲れさま!乾杯‼︎」


「「「「乾杯」」」」」


ニノが相葉ちゃんの隣で、すでにいい感じに出来上がってる。
おいらは向かいの席で、翔くんと松潤は挟まれ、
・・・何故か2人に世話されてる。


「大野さん、卵スープ頼んどいたよ。飲むでしょ?」


「ん。ありがと」


「ほら、智くん。野菜もしっかり食べないとダメだよ」


「ん。翔くん、ありがと」


それを見ていたニノが、ニヤニヤ笑ってる。


「・・・なんだよ?ニノ」


「別に・・・ふふ」


ニノの隣の相葉ちゃんが突然立ち上がり、
ビール片手に語り出す。


「本当奇跡だよね?だって、絶対に会わないじゃん!事務所に入ってなかったら。
急遽集められた5人がさ、こうやってさ、グループ組んでさ、
うまく行かない時も乗り越えてさ、めでたく15周年を迎えられたんだよ‼︎
奇跡だと思わない?俺、嵐になってよかったよ!」


すでに涙目の相葉ちゃんがお決まりのセリフを言う。


「相葉さん、今日早くない?それ出すの」


「松潤はそう思わないの?」


相葉ちゃんが松潤の顔を覗き込みながら座る。


「・・・まあね。よくここまで来たよね?誰1人欠ける事なく。
だって、最初、3人辞めたがってたもんね」


「んふふ、本当だ。おいら社長に騙されたんだよね。
けど、今思えば、こうなる運命だったんだよ。うちら5人は」


「運命ね・・・智くん、今日は語るね」


「ふふ、たまにはリーダーらしいこと言わないとね」


「・・・今のがリーダーらしいかは、微妙ですけどね?」


「もう、ニノ、うるさいなー」


さっき座った相葉ちゃんが再び立ち上がった。
おいらと、翔くん、松潤に目配せする。


「そう!もう15年なんだよ!そろそろはっきりしてもいいんじゃない?」


「へ?」


「大ちゃんはどっちを選ぶの?翔ちゃん?松潤?」


「ば、いきなり何言い出すんだよ!相葉くん、酔いすぎだよ」


翔くんが相葉ちゃんをなだめて座らせようとする。
それを振り払い、


「本当はちゃんと知りたいくせに。翔ちゃんそろそろ覚悟を決めなよ!」


「・・・・・」


「ふふ、相葉さんの言う通りですね。
大野さん、あなた2人の気持ちに気付いてるんでしょ?
答えを出してもいいんじゃない?2人のためにも、あなたのためにも」


「・・・・・」


「大野さん、俺、分かってるよ。
アンタの気持ち。ごめんね。俺のせいだね。
俺がいつまでも諦めないから・・・」


「ち、ちがうよ。松潤」


「違わないよ。アンタは優しすぎる。
俺を傷つけないように、本音を隠してるんだろ?
もう十分だよ。アンタが欲しいのは誰?」


「・・・・・」


「大丈夫。俺はそんなに弱くない。知ってるだろ?
アンタが好きなのは誰?」


「・・・しょ・・・うく・・」


「聞こえねーな、もっと大きな声で!」


「・・・翔くん!おいらが好きなのは翔くんだよ」


「ふふ、やっと言ったね。大野さん」


「え?智くん、それ、ほんと・・?」


おいらは翔くんの顔が見られず、うつむいたまま頷いた。


「ゆ、夢じゃないよね?
お、俺も貴方が好き。ずっと好きだったんだ」


そう言うと翔くんがおいらを抱きしめた。
おいらは恥ずかしくて、顔が上げられなかった。


「・・・本当に手のかかるおじさん達ですね」


「おじさん言うな!お兄さんな‼︎」


翔くんがニノに食い気味でつっこむ。


「ハイハイ。じゃ、やっとカップル成立と言うことで、
も一度乾杯しましょ?さ、おじさん達も」


「だから、お兄さん!もうどっちでもイイや」


「じゃ、改めて嵐15周年と大野さんやっと言えたねを祝して乾杯‼︎」


松潤が号令をかけてみんなでグラスを合わせる。
相葉ちゃんの言う通りだ。
おいら、嵐になってよかった。



おいら1人では今まで続けられなかった。


このメンバーがいたから頑張れた。



これからも5人でいる。





ずっといる。