「・・・ここどこ?」


「ん?私のうちですけど?」


「・・・だよね。デートは?」


「ん?どっか出かけたかったですか?」


「い、いや、そういうわけでは・・・」


ちょっと戸惑ってるあなたが、私に促され、部屋に入ってくる。



あなたが私の部屋にいる・・・
なんか不思議な光景だ。


皆でなら、これからあるかもしれない。
でも、2人っきりはこれが最初で最後だろう。


「お腹減ってます?適当につまめる物買って来たんですけど、
足らないなら、なんか買ってきましょうか?」


「んー、これで十分。ビール飲んでいい?」


「はい、どうぞ」


「ん。まずは乾杯しよ?お疲れさま!」


「お疲れ様です」


「ふふ、なんか面白いね。こうやってニノと刺し飲みって、
あんまりしたこと無い」


「・・・それはあなたのせいでしょ?
どんだけ誘ったと思ってるんですか?」


「んふふ、そうだな」


あなたが美味そうにビールを喉に流し込む。
ただそれだけなのに、絵になるんだよね。


飲むといつもよりちょっと陽気になって、
饒舌になるあなた。
いい感じにほろ酔いになり頬を赤く染めるあなた。


あなたを今、独り占めしてる。
思わず笑みがこぼれる。


「・・・もう、ニノ、飲んでる?
これ、美味しいよ、食ってみ?」


「はいはい。どれですか?」


「ん。これ、ほら、アーンして?」


「へ?あ、あの・・・」


「もう、早く口開けて・・・」


パクっ


「ね?美味いでしょ?」


恥ずかしくて顔が上げれず、大きく頷くしかできなった。
ちょこっと顔を上げて見ると、あなたは、んふふって笑って満足げな顔をしてる。
いつものふにゃふにゃの笑顔。私の一番好きな顔。


「・・・ビールまだ飲むでしょ?
もっと持って来ますよ」


空いてる缶をキッチンへ運び、
冷蔵庫から、冷えたビールを数本取り出して
リビングへ戻る。


すると、あなたはテーブルに頭を置き、
スヤスヤ寝てしまってた。


「・・・ちょっと、いくら自宅デートだからって、
ここで寝ます?」


あなたのぷっくりしたホッペをつついてみた。
むにゃむにゃって、漫画みたいな声を出すあなた。


「・・・こんな無防備な姿晒して、
何されても文句言えませんよ?」


起きそうにないあなたを、肩に担いで、
寝室のベットへ運ぶ。


「・・・・・・」


「・・・あなたが悪いんだよ?」


あなたの頭を撫で、頬に手を滑らす。
あなたの艶っぽい唇を指でなぞる。
我慢出来なくなり、覆いかぶさり、まさにキスをしようとした瞬間、


「ふふ、しょおくん・・・くすぐったい・・・って」


今までみたことのないあなたの笑顔、
あなたの寝言にビクッとし、あなたの横に座り直す。
こんな時に翔さんの名前呼ぶなんて反則だよ。



はー完敗ですね。


気持ち良さそうに寝てるあなた。
そんな顔されたら、何も手が出せないじゃん。


仕方ない。今夜はあなたの寝顔をみながら、
眠るとしますか。












「ん、んー・・・って、あ、あれ?ここどこだっけ?」


「・・・起きましたか?ここは私の家で、
あなたは昨夜、飲み潰れて寝てしまったため、仕方なくベットに運んだんですよ」


「ああ、それはすまん!で、今何時?」


「・・・ん、今は朝の6時です。」


「マジか!ご、ごめんニノ、デートだったのに」


「ふふ、あなたらしくて面白かったです。
・・・あ、そういえば、さっき彼氏に連絡しときましたよ?」


「へ?彼氏って?」


「あなたの愛しい恋人は、熟睡してしまったので、
うちに泊めましたって」


「も、もしかして、翔くんに⁈」


「ふふ、さっきからあなたのケータイ、忙しそうですよ?」


ニノに言われてケータイを見ると、
翔くんからの着信とメールの履歴で溢れてた。


こりゃ、相当怒ってんな。
着信音が流れ、ビクッとする。


「ほら、電話に出てあげないと、愛しい彼氏からのラブコールでしょ?」


ニノが妖しい笑みを浮かべてる。


マジか!なんで言い訳したら許してくれる?
ああーまずこの電話、どうしよう・・・


思わずニノを睨みつける。
ニノはおいらの視線に気づき、
声を上げて笑った。