ゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロ


「ん?なんか音してない?・・・しかも近づいて来てない?」


「・・・このゴロゴロってなんの音だろうね?」


ニノと相葉ちゃんが音に気づいた。
確かに近づいて来てるかも?


すると楽屋のドアが開いた。
まんべんの笑みを浮かべ、翔くんが楽屋に入って来た。


「おっはよー皆。今日も仕事頑張ろうね!」


ゴロゴロ、スーツケースを引きづっている。
音の犯人はお前か⁈


「・・・おはよ?何、その荷物
・・・今日泊まりのロケでもあんの?」


相葉ちゃんが聞く。皆もスーツケースに視線をやる。


「ん?何って、ねえ?」


翔くんがキラキラして瞳でおいらを見る。ん?何だ?


「・・・は!もしかして、・・・お前何日泊まるつもりだよ‼︎こんな荷物・・・」


言ってしまって、ハッとする。
でも、もう遅い。


「・・・なになに?今日、翔ちゃん、リーダーんちにお泊まりなの?」


「ふふ、まあね、なんか色々準備してたら、こんなになっちゃった!」


「・・・すげ~な。翔さん。一体何が入ってんの?」


「ば、バカやろ!内緒だよ!開けんな!」


スーツケースを相葉ちゃんと松潤に開けられそうになり
大慌ての翔くん・・・マジで、何持って来てんだか?怖いな・・・。
おいらが3人を見ていると、
隣に座ってたニノが、ゲームをやめ、そっとおいらに抱きついて来た。


「ん?どうした、ニノ?」


「・・・別に。いつもと一緒です」


「・・・・そ?」




収録が終わり、楽屋に戻る。
いつもは準備の遅い翔くんが、すでに帰り支度を済ませてた。
下で待ってるって仕草をして、またゴロゴロ、スーツケースを引きながら
楽屋をでていった。


「・・・ねえ?ニノ、翔ちゃん車で来てんなら、わざわざ持ってこなくていいのにね?」


「・・・・・・・・・」


「ん?ニノ・・・?」


「え?あ、・・・そうだね」



「じゃ、おいらも行くわ。おつかれさま」


「あ、大野さん‼︎」


「ん?ニノ、どうした、今日やっぱり変じゃない?
なんかあった?」


「・・・いや、何もない。お疲れ」


ニノが今にも泣きそうな顔をしてる。
すると、相葉ちゃんが後ろからニノを抱きしめた。


「うひゃひゃひゃ、ニノはお腹空いてるんだよね?
大ちゃん、大丈夫。ニノに美味しいもん食わしとくから、
心配しないで!」


そう言うと、相葉ちゃんはニノを抱き締めたまま、
いつものウインクをしてきた。


「・・・だから、出来てないって。
・・・・・分かった、じゃあね」


おいらは翔くんが待つ駐車場へ急いだ。





「・・・私、お腹空いてないんですけど?」


「うひゃひゃ、そう?でも、美味い店教えてもらったんだ。
一緒に行かない?」


「・・・・行っても、いいですけど?」


「やった!松潤は?」


「今日は先客あり。また今度ね。
・・・・ニノ、ガンバです‼︎」


「ん。ありがと」


「よし!んじゃ出発ー、行くぞ!」


相葉さんが私の肩を組んで楽しそうに歩いてく。


そのいつもと変わらない笑顔のあんたに救われた気がした。


ちゃんと分かってる。
だって私は大野さん、あなたをずっと見てきたから。



けど、今日は気持ちが上手く切り替え出来なかった。
淋しいって気持ちが隠せなかった。




相葉さん、あんたがいてくれて、本当よかった。