コンコン、コンコン


楽屋のドアがノックされ、ハイと返事をすると、
見知らぬ女の人が入って来た。


「え?・・・・ええーっと?」


この人一体誰?
何も言わず、俺の瞳をじっと見つめてる。
会ったことあったっけ?


こんな綺麗な人に出逢ってたら、忘れるはずがない。
だって、俺のどストライクなんだもん。
でも誰だか思い出せない。
相手の人も俺を見つめたまま動かない。


「あ、あの・・・・・・」


声をかけたと同時にその人がこっちに向かって歩き出し、
ギュっと抱きついて来た。


え?ええ‼︎なんでなんで?俺、どうしたらいいんだ?
その人は潤んだ瞳で、俺を見つめる・・・・
ぷっくりとした唇がまるで俺を誘ってるみたいに見えて目が離せない。

駄目・・・だ・・・


誘惑に負けて、その人のあごを掬って口付けようとした瞬間、
楽屋のドアが勢い良く開いた。


「はい!終了‼︎離れて離れて」


「へ?な・何?」


ニノと相葉くんが中に入って来た。
その女の人が今度は上目遣いに俺を見る。


「・・・翔くん、こんなんじゃすぐ騙されちゃうよ?」


「へ?え?その声、もしかして、智くん?ええ‼︎智くんだったの?」


ビックリしてその人の顔をマジマジと見る。
よく見ると確かに、大野智だった。


「リーダー完璧じゃん‼︎これなら松潤もイケるかも?」


「ですね。じゃ、本番行きましょうか?大野さん」


「んー、ホントイケる?だって松潤だよ?
俺じゃなきゃ駄目なの?すぐバレそうだな・・・」


「貴方じゃなきゃ駄目なんですよ」


ビックリしてる俺を無視して、
3人は何やら良からぬことを仕掛けようとしているようだ。
松本がなんだって?


「ええっと?話が見えてこないんですが、説明していただけますかね?」


俺を無視する3人に話しかける。
・・・それにしても、智くんのこの格好。
破壊力がハンパない‼︎女にしか見えないじゃん‼︎


「・・・翔さん、大野さんのこと変な目で見ないでくださいよ」


「な!見てないわ‼︎ただ感心してるだけ・・・」


「あー、あのね翔ちゃん、耳かして、実は・・・」


相葉君がいうには、松本にバースデードッキリを仕掛けるとのこと。
智くんが女装して、プレゼントを渡すらしい。
智君が知ってるのはここまで。

本当の目的は、松本と智くんをくっつけようって作戦らしい。
確かにな。松本の気持ちは俺も気づいていた。
もしかしたら、智くんも・・・なんじゃないかな?


「で、俺は何?さっきのは何だったの?」


「翔さんのは、大野さんの予行演習です。自信が無いっていうから。
ほら、言った通りでしょ?翔さんなら簡単に堕ちるって、
この調子でJにサプライズ仕掛けに行きますよ」


「・・・・・なんか、ムカつくんだけど?」


「あ!ヤバイ、時間だよ?ニノ、リーダー、急ご‼︎」


「うーん、イマイチ自信が無いけど、行くか!」




慌てて楽屋を出て行く3人に俺もついて行った。