「・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・」



「・・・ねえ?ニノ、何あれ?気持ち悪いんだけど・・・」


「・・・そうだね。大野さんと何かあったんじゃない?
けど、きっと些細なことだと思いますよ、相葉さん。・・・一応聞いとく?」


「ん。・・・・ねえ、翔ちゃん、今日ご機嫌だね?なんか良いことあったの?
っていうか、その顔ヒドイよ?」


いつもの定位置に座って新聞を読んでた俺は、
自分の顔がだらしなくニヤけてることに気づいてなかった。
ニノと、相葉くんが怪訝そうな顔でこっちを見てる。


「な!ヒドイってなんだよ!失礼な!そんなことな・・・い」


近くの鏡を見て驚いた。
確かに、これはヒドイな。俺ってこんなに顔に出るんだ、気をつけなくちゃな。


「で?なんかあったの?大ちゃんと」


ニヤニヤ笑いながら相葉くんが隣に座って来た。
ニノもゲームをしながらこっちを伺ってる。


「何かってほどのことは・・・・」


「なになに?もったいぶらないでよ、あ!もしかして・・・・?」


「ん。今度の休みに智くんの家に遊びに行く約束をしてるの」


「・・・はい?そ、それだけ?なんか進展があったんじゃなくって?」


「はははは!ほら相葉さん、やっぱりたいしたことない」


「・・・笑うなよ。こっちは真剣なんだぞ!」



笑いが止まらない2人にちょっと頭に来たけど、
なんと言われても良いんだ。
俺は貴方の家に行けることが嬉しいんだもん。



すると、松本と貴方が話しながら楽屋に入って来た。
スタンバイの準備をしながら話を続ける。



「アナタまた酔っ払ったんでしょ?
今朝、蔵さんからメール来てたよ」


「いや、そんなに酔ってないよ、大げさに言ってんだよ」


「んじゃ、どうやって帰ったか覚えてるの?」


「え?・・・そ、それは・・・・ねえ」



ううんとって、首を傾げる貴方。
その仕草も可愛いなあって、ちょっと待って?覚えてない・・・の?
思わず立ち上がる。



「ちょっと、智くん?もしや覚えてないの?」


「うーん、目が覚めたら、自分の家のソファーで寝てた」


「マジで?俺のこと呼んだじゃん!俺、家に送って行ったじゃん!
ってことは、あの約束も覚えてないの?」


「ん?あの約束ってなあに?」


「・・・・・・・・・」


マジか?俺、マジで泣きそう・・・
何も覚えてないなんて。



「はははは、残念でしたね。翔さん。ガンバです!」


「まあ、大ちゃんらしいね、次こそ・・・ね、ガンバです!」


「へ?何のこと?よくわからないけど、とりあえず、翔さんガンバです!」


順番に俺の肩をぽんっと叩いて、3人は楽屋を出て行った。
はーっとため息が出た。座り込んだ俺を、
貴方がいつものふにゃふにゃの笑顔で見ていた。


「ねえ?本当に覚えてないの?」


「んふふ、覚えてるよ?」


「え?じゃ、さっきのは・・・?」


「ふふ、嘘。覚えてないわけないでしょ?
でも、ちょっと恥ずかしかったから、皆の前では覚えてないって嘘付いたの」


「え?ま、まじで?」


「・・・次の休みが待ち遠しいね。楽しみだね?」


俺は嬉しくて、貴方を抱きしめた。
貴方には本当に敵わないな・・・・


「ほら、もう行かないとね、翔くん」


貴方に促され、楽屋を出る。
手を繋ぎたい衝動にかられるけど、ここは仕事場、我慢我慢!




「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「ねえ?・・・何あれ?やっぱり気持ち悪いんだけど」


「・・・どうせまた大野さんと何かあったんでしょ?」


「・・・多分、たいしたことないんだろうけどね」