「・・・一体どこに行くんですか?」


「ん?俺んち。この間番組でハンバーグ作ったのね、
ニノに食わしてやろうとずっと思ってたんだよね!」


「・・・そう、ちゃんと食べれるもんお願いしますよ?」


「失礼な!食えるわ!・・・・でも、やっと喋ったね。良かった」


前を見たままの相葉氏が安心したのかいつもの優しい笑顔になった。
あの時、相葉氏がいてビックリしたけど、
いてくれて良かった。1人にはなりたくなかったから。


「・・・一回しか聞かないから、聞いても良い?
ニノはこれで本当に良かったの?大ちゃんに気持ち伝えなくて良いの?」


「・・・・・・・・・、
うん。これでいい。これが正解なんだよ・・・」


ずっと大野さんを見て来た。
私が幸せにしたかった、あなたの特別になりたかった。
でも、私じゃ駄目なんだって痛いほど思い知らされた。
だって私が隣にいても、あなたはあの人しか見てなかったから。


急に車が止まった。


「・・・ごめん、買い忘れたものがあって、そこのスーパー寄って良い?
ニノはここで待ってて」


相葉氏はそう言うと着ていたシャツを私に投げて車をおりて行った。


・・・・・・・それで気がついた。
私は知らぬ間に泣いていた。相葉氏のシャツを抱き締める。
彼の優しさに、余計に涙が溢れて止まらなくなっていた。






相葉氏のマンションに着くと見慣れた後ろ姿があった。


「遅い!誘っておいて待たすなよ‼︎」


「ごめんごめん!松潤早かったね。
買い物してた。ね、ニノ?」


慌てて鍵を取り出す相葉氏。
部屋に入って、リビングに通された。


「とりあえずこれ飲んで待ってて、すぐ作るからね」


そう言ってビールを手渡すと、相葉氏はキッチンに消えて行った。
Jと2人とりあえずソファーに腰掛ける。


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「・・・あのキス、誰でも良かったって言ったんですって?」


「え?大野さんに聞いたの?情報はえーな」


「ふふふ、良かったんですか?大野さん信じてましたよ」


「ん。先に聞いたのね、あの後、翔さんに告白されたか?って。
そしたらあの人、一瞬嬉しそうに笑ったんだよ。ほんの一瞬だけど、
もう可愛いったらないのよ。あれ見たら、ねえ、・・・無理でしょ。
ニノはどうしたの?」


「・・・ふふふ、同じ。今回はやめてきました」


「?今回は?って事は・・・・」


「私は諦め悪いんでね、それにもしかしたら、
大野さんヘタレな翔さんに嫌気が差すかもしれないですし?」


「・・・だな!まだ良いよな?諦めなくても」


「ね。・・・って言うか、何か焦げ臭くありません?」


「え?ちょ、ちょっと、相葉さん!煙、何やってんだよ⁉︎」


「え?うわ、やベー‼︎あ、あつうう」



ちょっと焦げたハンバーグとポテトサラダを相葉氏が作り、
Jが野菜が足らないって言って、野菜スープを作り足した。


「ま、上出来じゃね?冷めないうちに食べよ!」


相葉氏の声に促され、皆で食べ始める。
ふと、相葉氏が箸を止めた。


「・・・あの2人うまく行ったかな?」


「俺らがこんなにアシストしてんだから、うまく行くでしょ?」


「いや、でも翔さん、肝心な時に、弱いですからね~」


「うんうん。でも大ちゃんが締めるでしょ!
あんな可愛い顔してても、うちらの中で一番男前だからね」


うちら3人はわいわい騒ぎながら飲んで、食べた。
いつの間にかベロベロになった相葉氏の


「俺、嵐になって良かったよ~‼︎」
が始まって、Jと一緒に大笑いした。



でも本当に嵐になって良かったと思った夜だった。