「んんっ・・まつじゅ・・・やめ・・・」


アンタが俺から必死で離れようとするけど、
逃げられまいと、俺はさらにアンタの唇に自分の唇を押し当てる。


楽屋のドアが開き、少しの沈黙の後、


「・・・何やってるんだ、お前ら‼︎」


遅れて戻って来た3人。
聞き慣れたその声に、アンタがビクっと身体を震わせ、
凄い力で俺を突き飛ばした。


その直後、俺は胸ぐらをを掴まれた。


「・・・何してるのかって、聞いてるんだ‼︎」

聞いたことのない低いドスの効いた声、
見たことのない怒りに満ちた瞳で、
俺を睨むアナタ。


次の瞬間、アナタが拳を握り締め、俺に殴りかかってくる。
バッと間に入って、アナタの腕を止めたのは大野さんだった。


「ダメ、駄目だよ、翔くん。・・・落ち着いて。ね?」



大野さんに言われて、拳を下ろす翔さん、
怒りに満ちた瞳は変わらずJを睨みつけている。


翔さんはふーっと大きく息を吐いて、
今度は大野さんの腕を掴んだ。


「ちょっと、きて」


「え?ちょっと・・・まっ」


翔さんが、強引に大野さんを引っ張って、楽屋を出て行く。
その瞬間、大野さんと目があった。
「松潤をお願い・・・」
そう言われた気がした。


「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


楽屋がシーンとなった。
口を開いたのはJだった。


「・・・ゴメン、にの、
俺、自分を止められなかった・・・」


「・・・ん。しょうがないよ。でも・・・」


「え?」


「うらやましいな、Jが・・・」

私もそうできたら、思ったことを行動にうつせたら、
あなたとの関係ももっと違ったかもしれない。



松潤がうらやましいと呟いて、
2人が出て行った楽屋のドアをじっと見つめてるニノ。
その後ろ姿が今にも消えてしまいそうで・・・


「に、にの、あの・・・」
俺が声を掛けると、くるっと振り返る。
いつもの不敵な笑みを浮べて。


「・・・さて、困ったことになりましたねえ、
ふふ、ちょっと相葉さん、なんて顔してんの?」


そう言ってふざけて俺のほっぺたを両手で引っ張る。


「い・・いたい、はな・・して、にの・・」


いつものニノに戻ってる。
さっきのはいったい・・・とりあえず安心かな?
俺は両頬を押さえながら、ニノに聞く。


「困ったことって?」


「ん。自分が翔さんの立場だとして、あんな場面を目の当たりにして、
その後どうします?」


「・・・・・、そりゃ」


「・・・・・・・・・」


「いくらヘタレだって言っても、さすがの翔さんももう黙っちゃいないでしょ。
で、ここで確認ですけど、・・・最悪の場合どうします?」