黙って出て行ったJを心配してるみんな。


まあJの気持ちも分からなくもないけど、
重要なのはそこじゃない。


呆気に取られてホカンとしてるあの人の隣に座り、
じぃーっと顔を覗き込む。


「・・・、な、なんでしょうか?二宮さん」


「ふふ、ごまかせたと思ってる?
まだ続きあるよね?・・・ねえ、翔さん?」

だってそうじゃなきゃ、ここ最近の翔さんの機嫌の良さの説明がつかない。
私の目は節穴じゃございませんよ。


ドキッ


妖しく笑うニノが俺をじっと見つめてくる。
なんでバレた?


焦ってなんとか取り繕うとするけど、
ニノには効かない。
どんどん距離を詰められて、追い込まれる。


コンコン!


「そろそろスタンバイお願いします」


スタッフが呼びに来た。ああー神様!


「・・・ふーん、まあ、いいですけどね。
あ、大野さん一緒に行きましょ」


ニノは不敵な笑みを浮べ、智くんの腕に自分の腕を絡めて、楽屋を後にした。


「・・・翔ちゃん、大変だね。
あの2人は強敵だ。めげずに頑張れ!さ、いこ」


「え?」


「いいからいいから」


相葉くんに促され、俺も楽屋を出た。
色々バレてるな・・・・


スタジオに入ると、さっき出て行った松本がいた。
嬉しそうに松本に話しかける貴方。


松本もすっかり気持ちを切り替えたようで、
笑顔で皆と談笑してた。







アンタを心配させたくなくて、気丈に振る舞う。
けど、心の中は醜い嫉妬心でいっぱいだ。


後輩達にもイライラするけど、何より、
アンタに対して、焦ってたはずの翔さんの最近の態度。
なんか余裕っていうか、とにかくムカつく‼︎


どんどん独占欲が強くなる。
アンタが誰を好きなのか、ちゃんと分かってるけど、
俺だって負けないくらいアンタを思ってるんだ。


俺のこんな気持ちなんて全く気付かず、無邪気にじゃれてくるアンタ。
いっそのこと、強引にかっさらおうか。
・・・アンタの気持ちを無視して。




編集の都合で、俺とアンタは先に楽屋に戻ることになった。
気になってることをアンタに聞くなら今しかない。


「ねえ、さっきの話だけど、
その後、自分ち帰ったんだよね?」


「・・・それがまったくおぼえてないんだけど、
目が覚めたら翔くんの家にいたの。おいら酔っ払って寝ちゃったみたいで、
仕方なく泊めてくれたみたい。本当恥ずかしいよね」


「・・・・・・・・」


「?どしたの、松潤?」


黙ってる俺を、心配げに覗き込むアンタ。
アンタの香りが、俺を包む。


強引にアンタを引き寄せ、抱きしめた。
驚いて、俺から離れようとするアンタの耳元に、


「・・・俺がキスしてやろうか?」



そう囁いて、アンタの唇に自分の唇をそっと重ねた。