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なかなか寝付けず、とりあえずビールを手に取る。


こんな機会はまたとないぞ!
これは神様のくれたチャンス、モノにしようぜ‼︎
グズグズしてたら、誰かに取られちまう!


バカなこと言わないの!
智くんの気持ちも確かめないで、自分の欲でカラダだけ繋ぐなんて、
大切にしたいんじゃないの?


俺の頭の中で、黒い俺と白い俺が囁きあう。


さっきの貴方が頭から離れなくて、
気になって気になって寝室を覗きに行く。


本当、可愛いんだよね。
・・・・これ、本当に30過ぎた男か?
そっとベットに腰掛け、貴方の頭を撫でる。


貴方、自分が可愛いって自覚ある?
後輩の前で、あんな無防備な姿見せちゃって。
あんなの見たら、誰でもイチコロじゃん!
いつもああなの?


だからか、ニノや松本が貴方をしつこく飲みに誘うのは。
酔った貴方は隙だらけ。


なんかだんだん腹が立ってきた。
人の気も知らないで、呑気にすやすや寝ている貴方に。


このまま抱きしめて、貴方を俺だけのものに・・・・


ダメだ、この寝顔反則だよ。


はあー、また黒い俺と白い俺が頭ん中で言い争ってる。
俺は試されてるのか・・・
グルグル考えて、寝室を後にした。







すごく気持ちが良くて、ずっと触れていたい。
そんな夢を見ていた。
はっきり覚えてないけど。


ふっと目を開けると、
見知らぬ天井が見えて、思わず飛び起きる。
・・・ここ、どこ?
昨日は、翔くんと後輩達と飲みに行って・・・
あれ、途中から記憶ないや、どうやってここに来たんだろ?
頭痛い・・・


寝室から出ると、
ソファーに横になってる翔くんを見つけた。
ここ、翔くんの家だったんだ。
そっとのぞきこむとすごい怖い顔で寝てる。
おいらがベットとっちゃったからかな?


「・・・翔くん、翔くん起きて。
おいら、ごめん。ベット占領しちゃって・・・」


貴方に揺さぶられて、目を覚ます。


「あ、ごめん、智くん起きたんだ。
先起きて、朝ごはん作ろうと思ってたのに、寝坊しちゃったな」


「ううん、ご飯なんて。
ごめん、おいら昨日店で寝ちゃった?」


「ふふ、とりあえずシャワー浴びてきなよ。
昨日そのまま寝ちゃったから気持ち悪いでしょ?」


「・・・じゃあ、お言葉に甘えて、シャワーお借りします」


「なんで敬語?もしやまだ酔ってる?
着替え貸そうか?ちょっと待ってね」


「いや、良いよ。1度うちに帰る」


貴方がバスルームに行ってる間に、
朝食の準備をする。
って言っても、ご飯は作れないから、
トーストとコーヒーだけ。


程なくして、貴方が出てきた。


「昨日のこと、おいら途中から覚えてないんだけど、
なんでここにいるの?」


「え?どこから覚えてないの?」


「ええと、後輩達と飲みに行って、
翔くんが席を立って、その辺から曖昧・・・」


マジか!
後輩にキスしようとしたことや、
俺と、その、キスしたこと覚えてないの・・・


「なんかすごく気持ちよかったっていう夢を見たんだけど、
それが何か分からなくて、
もしかしておいら、なんかやっちゃった?
翔くんに迷惑掛けた?」


「い、いや!なんもない‼︎なにもやってないよ!」


思わずそう言い切ってしまった。
だって覚えてないのにキスしましたなんて、
とても言えない。
夢だと思ってるみたいだし。


「・・・そう?じゃあよかった」


翔くん、明らかにおかしい。
すっげ、焦ってる。

なんかやっちゃったな、これは。


まじーな、おいら一体なにやっちゃったんだろ?