『智くんを譲る気はない!』


この前ニノと松潤にカッコ良く宣言したものの、
相変わらず、あの2人に押され気味の毎日。
ありがたい事に個人の仕事も充実してて、なかなか貴方と一緒の仕事がない。


でも今日は、5人の仕事の後、
貴方と2人で雑誌の仕事が入ってた。
浮かれる気持ちを抑えつつ、定位置に座って新聞を読む。


「ねー良いじゃん!また大野さんの家にお邪魔させてよ。
新しくなんか描いてるんでしょ?」


そう、唯一貴方の家に入ったことのある松潤は、
勝ち誇った顔で俺のことを見てから、貴方に言い寄る。


「あれはたまたまだよ。一回来たんだからもういいだろ!」

「俺はアンタの絵が見たいんだよ」

「だからまだ途中なの、描けたら写真送るよ」

「いや、実物が見たいんだって、俺は!」


2人のやりとりを新聞越しに聞いてたんだけど、
どうにも我慢出来なくなって来た。


「ほら、松本。智くん困ってるじゃん!いい加減にしとけよ。
智くん、新聞空いたよ。いる?」


松潤を軽く睨んで、貴方に新聞をちらつかせる。
嬉しそうにこっちに来るあなた。
俺の隣にちょこんと座り、釣りの記事に夢中だ。


「・・・ねえ、智くん」

「んー?なに、翔くん」

「ん、また新しいの描いてるの?今度のはどんな大きさ?」

「んーとね、結構でっかいかな?でも面白い」

「へー俺も見てみたいかな。・・・今度で良いから智くんの家行って良い?」


そうさりげなく、出来るだけさりげなく聞いてみた。
すると、貴方の顔が一瞬で変わった。


「駄目、翔くんは絶対駄目‼︎」

「・・・え?」


言ってしまってから、ハッとした。
あまりに強い口調で言ってしまったため、
楽屋が一瞬静まり返った。


「い、いや、違うんだ、ゴメン、翔くん・・・」

「・・・・・・ん、だいじょうぶ・・・」


いや、全然大丈夫じゃないじゃん!
しまった、どうしよう。
でも、だって、あれを見られたら・・・・


おいらが焦ってどう言い訳しようか頭をフル回転してる時、
松潤が追い打ちをかけた。


「はっはーん、分かった。あれ、見られるのが嫌なんだ。
アンタのあの赤いっ・・・んがっ」


松潤が言い終わる前に、慌てて口を塞ぐ。


「おまえ・・・いらんこと言うな!」

「んんっ、いらんことって?」


ニヤニヤして俺を見る松潤。
こいつを家に入れたのは間違いだったな。


「・・・あ、もしかしてJrの時から持ってるスケッチ・・・んがっ」


こっちにもいた!
とっさに松潤から離れて、ニノの口を塞ぐ。


またハッとして翔くんを見た。
すごく悲しそうな顔でこっちを見てた。


・・・しまった。