「智くん、タオルここ置いとくね。
着替え俺ので悪いんだけど、我慢して着てね」


「ありがと、翔くん」


俺の家に着いて、俺は急いで智くんを風呂に案内した。
早く身体を暖めないと、風邪ひいたら大変だ。
今のうちに、何か食べるものを用意しとかなくちゃ。


俺はいそいそ準備した。
だって智くんが俺の家にいるなんて、
こんなことありえない。


智くんにとっては不運な雨だったけど、
俺にとっては幸運の雨。神様ありがとう。
メールに早く気がついてよかった。


「翔くん、お風呂ありがとう。」
「あ、智くん。食べるものこんなのしかないけど・・・どうぞ。」


そう言って缶ビールを手渡す。


「んふふ、ありがと。」
嬉しそうにビールを飲む智くん。


「やっぱりスエット大きかったね」
俺のスエットをきた智くんは女の子が彼氏の服を着てるみたいになってる。
すごく可愛いんですけど。


「本当ムカつく、昔は俺よりだいぶ小さかったのに」
口を尖らせ、拗ねる貴方。
拗ねた顔のままビールを飲む。


だから可愛すぎるんですけど。
貴方は気づいてないけど、俺はもうずっと前から貴方が好きなんだから、
あんまり無防備にならないで欲しい。


いや、こんな機会なんてそうそうないんだから、
無防備なとこもっと、見てみたい。


そんなこと考えてたら、
貴方が俺の顔を覗き込んできた。


「・・・な、なに?」
顔、近いんですけど。


「うふふ、だって、翔くんさっきから1人で百面相してんだもん。」


マジで、俺、顔に出てた?
恥ずかしい。


「ほら、今度は真っ赤っかな顔してる。
面白い。翔くんは見てて飽きないな。
だから大好き。」


「え・・・?」


「ん?聞こえなかった?
おいら、翔くんが大好きって言ったの。」


いつもより頬を赤く染めて、いつものふにゃふにゃの笑顔で
智くんが俺をまっすぐ見て言う。


「もう智くん酔ったの?
あ、ビールもっといる?」


俺はドキドキがたまらず、それを気づかれないように、
キッチンへ逃げようとした。


すると智くんに腕を掴まれ、ぐいっと、智君の顔の近くに引き寄せられる。
さらにドキドキする俺を無視して、


「翔くんは、おいらのこと好き?」


さっきと違って、なんか色っぽい顔になってる智くんが
俺に問う。
思わず目をそらして、


「も、もちろん好きだよ。
・・・で、でも、」


「ん?でも何?」


「ん、だから、智くんのこと好きだよ。
でも、俺と智くんの好きは違うよ・・・」


「違うってどういうこと?」


「だから、俺のは・・・


言いかけた時、貴方の顔が近づいてきて、
貴方の唇が、俺のそれに重なった。
そっと触れるだけのキス。


びっくりして、貴方を見ると、


「おいら、しょおくんが好きだよ。
おいらの好きとしょおくんの好きは違うの?
おいらもっとしょおくんに触れていたい。
しょおくんは・・・」


貴方が言い終わる前に、今度は俺が貴方の唇を塞ぐ。


『おいら、しょおくんが好きだよ』

さっきの貴方の言葉が俺の理性を奪う。
もう、俺は頭が真っ白になって、夢中で貴方の唇を貪っていた。