“もう話すことも、逢うこともないあなたへ”編集後記 | 少年記 コウ オフィシャルブログ「WORD BOUTIQUE」Powered by Ameba

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-誰かを想う純粋な気持ちと、

それでもどこか、自分の気付かないところで
相手に見返りを求めてしまう気持ち。



否、“自分の気付かないところ”ではなく、



“自分の中で認めたくない”気持ち。



相反する感情を、人は常に持ち合わせているのだと思う。-


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海と星空の繋がる場所。
きっとそこが、僕が全てを投げ捨てた場所。

果てのない旅路のなかで、
幾つもの見たことのない感情と交錯することがあった。

只、見えるだけ。

それが僕になにか、こころの波打つ感覚を与えてくれるでもなく、
ただどこか胸の奥に違和感を覚えながら、
温度のない涙を流してしまうだけだった。


-もしかしたら、知っているのかもしれない-


そんな漠然とした感覚しかなくて、
ただすれ違い様に涙を流すことに疑問を感じていた。



こういう時、僕は僕であった頃
(僕は、僕を取り戻すと言って歩き出したのを覚えている。
きっと明確な目的があるのだろうけれど、今の僕には、それを知る術がない)
に、書き溜めていた何冊ものノートを取り出す。


今の僕が見ても、
小学生が、大学の数式問題を解きなさい、と言われるくらいによくわからない。


ただ、何かの感情と交錯した時、このノートを開くことで、
今にも途切れてしまいそうな光の糸に呼び寄せられることがある。


すっ…とリンクする感覚。刹那の後、それは消え去ってしまうのだけれど。



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ねぇ、ずっと気付いて欲しかった。
わかって欲しかった。

もっと見て欲しかった、一緒にいたかった。



-本当は、今もそう思ってる。-



一緒に幸せになりたかった。

誰のものにもなって欲しくなかった。



私が願えば、私も幸せになれるの

私が願えば、あなたは戻ってくるの



ねぇ、どこに行ってしまったんだろう、
いまのあなたは、、
















もうあなたじゃない。




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『きっと人間なんてのものは、
いたってシンプルで、

ただそれを感情なり理性なりで包み込んでしまうから、

色々とやっかいなことになるんだろうね。


みんな、それをわかってはいるのだけれど、

正直周りが怖いんだよね。

こんな事したら、周りになんて思われるか分からない、
どう言われるかわからない、ってね。


あぁ、僕ももちろん本当の感情を隠すことには賛成だよ。

ほら、世の中の秩序に関わってくるからね。


笑いながら“死ね”って思ってる人が、
本当に死ねって言っちゃうと大変な事になるでしょ。


周りに合わせることは、大事だよ。


そしてもし可能であれば、
















なんの存在感もない人間でいたい。』



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『痛っ』


前述に挙げた感情の交錯は、
なんの前触れもなく降り掛かってくることが多い。

こめかみの奥の、脳のどの部位かはっきり知らないけれど、
その辺に針で刺されたような痛みを覚える。

それと同時に、流れ込んでくるのだ。



例えそこが、木々の生い茂った森林であっても、
渇いた荒野であっても、
僕はとにかくめぼしい場所を見つけて、一度腰をおろすのだ。
(個人的な統計によるとこの現象は圧倒的に夜が多い)


そして流れ込んでくる何者かの感情に耳をすませ、
そっとノートを取り出す。

刹那のリンクを感じた後、僕はまた歩き出すのだ。


海と星空が繋がる場所は遠い。



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私、成長したんだよ。

あなたのおかげなんだよ。


もうすっかり、自己犠牲なんて大嫌いになった。


大嫌いになった。



大嫌いになったんだけど、
あなたの為なら、何でも出来るって思った。初めて。


それこそ、死んでもいい!ってそう思えたんだよ。





あなたがどこか楽しくなさそうなさそうなのは、
きっと私のせい。


だから、自分を戒めるの。


それは、昔の自己犠牲とは全然違うの。


きっとあなたに違いはわからないだろうけれど、違うの。




あなたの笑顔が見たいから。



だから私は自分を変えていかなきゃ。



今の自分なんて嫌。

どうしてワガママばかり言っちゃうんだろうね。





もっとあなたの為に、私、自分を変えていかなきゃ。



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ぶわっ、っと、大粒の涙が止めどなく溢れ出した。

慌ててノートを探り出した。


だけどその項目には、何も記されていなかった。
“僕”にも、それに関しては解らなかったのだろうか。
それとも書き記す前に捨ててしまったのだろうか。


涙は止まらない。



次の瞬間、光の糸がどこかとリンクした。
ノートの助けなしにだ。

光の糸はいつもより太くて、いつもより更に輝いていた。

そして同時に、世界の終わりかの如く、“こころ”が波打ち始めた。


巡り巡る感情の連鎖。
それは走馬灯のように僕の頭をかき乱した。


痛い

苦しい


辛い



ただ一つだけ、理解しがたいものが流れてきたのを覚えている。


どこか暖かくて、きゅっと胸を締め付けるような。


その周りを、ほかの感情が取り巻いている感覚だった。


僕は大声で泣き続けた。



痛い

苦しい

辛い


どうして

なんで


嫌だよ


行かないで




ごめんね



あなたのこと





こんなに




こんなに





ーーーーーーーーー。





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ねぇ、渡す相手がいなくなってしまった、
今でも輝きを失わないこの気持ちは、


どうすればいいのかな。


誰かに預けることなんて出来ないから、


私の中で、ずっと置いておくね。



これからはきっと、
どこかであなたの明日を願いながら、
ずっと歩き続けていくんだと思う。



本当だよ?
もうどうにかなりたいなんて思ってないんだから。

あなたがどこかで笑顔でいられれば、
それほどの幸せはないって、心からそう思えるようになったんだ。



あの時は、夢中になりすぎてて、
きっと何も見えてなかった。



今も気持ちは変わらないよ?



だけど無理に押し付けることはもうやめたんだ。



私、成長したでしょ?



私の心の中の、この部分だけは、
今もあの時のままで、いつでもあなたに逢える。

今、もうあなたは、あなたであって、違う人になってしまったけど、
あの時のあなたは、ここにいるから。




たくさん、たくさんごめんね。


きっと辛かったよね、

だけど、私だって辛かったんだからっ





ほんとにごめんね。




そして、ごめんねの数より、一つだけ多い
たくさんのありがとうを。





もう話すことも、逢うこともないあなたへ。



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