先日の台風14号は直撃と思われていた静岡を微かに逸れてくれた。夜には雲間から久々に星が出た。
そんな日の出来事だった。俺はいつもクルマで出勤しているのだが、その日家に帰って来て、クルマから降り一歩、二歩と歩いた所で、
”ガザッ”と音を立てて何かを踏んづけた。
聞き慣れない感覚に一瞬凍りつく。
朝、クルマに乗り込むときに落としたのだろう、びしょびしょで重くなっていた。
タイヤで踏みつけなくて良かった、と安堵したのだが。
よくよく考えてみると、一日中駐車場に放置していた訳で、紛失してもおかしくない訳で。
家の前は通行人だっているし、しかも今は向かいの空地が基礎工事をしているので日中は作業員が目の前にいる。
ちょっと変わったエイ革の財布なので視界に入ればきっと気になり手に取ると思うのだ。
おそらく、14号の雨と風が通行人の気を引いてくれたのだ。そして工事は休みになったのだ。
直撃という予報も、直撃が日中だったのも幸いした。
天気の神はまるでこの日俺が財布を落とすのを見透かしていたかのようである。
よりによってそんな日に財布を落とす、俺は凶運なのか、強運なのか・・・。
どちらにせよ運がついていることに変わりはなさそうだ。