生きる
確か…、小学生くらいの頃だったと思うが、
ある雑誌の読者投稿コーナーで衝撃的なイラストを見た。
その雑誌がどんな雑誌だったかはもう覚えていないのだけど、そのイラストはモノクロで、たった3cm四方の小さな絵にもかかわらず、当時のボクに強烈なインパクトを与えるに十分な迫力のある絵だった。
そのイラストのタイトルは「生きる」
これだけははっきりと覚えている。
絵の構成は、炎か魑魅魍魎の中を、鬼の形相をした巨人がのし歩くといった構成。
深さのある水の中を両手を肩口まで上げて体をゆすって歩くように、炎か魑魅魍魎の中を咆哮を上げて蹴散らしながら力強く歩くその絵が、未だに強烈に印象に残っている。
手を引く者、足を取る者。
振りかかる困難と試練を自分の力で切り開き、力強く歩いていく。
そんな絵だった。
そのインパクトは本当に強烈なもので、「生きるってこういう事なんだ、これから生きていく人生には多くの困難が待ち受けているに違いないし、それを生き抜いていくにはこうした強さが必要になるんだ」という怖さも、強く感じた事を覚えている。
とはいっても、気分的に悪いものではなく、人生を生きていく力をその絵から伝えられた気がする。
自分だけではなく、誰しもそうして苦難を乗り越えているんだと。
しばらくの間は、その絵を見るために何度も雑誌を開いたし、大切に保管していたはずだけど、いつの間にか紛失してしまった。
何故かどうにもならないほどの試練や困難を目の前にした時、あの鬼の形相を強烈に思い出してしまう。
出来る事なら、今もう一度あの絵に会いたいと思う。
記憶が確かなら、もう30年も前の話になるし、どの雑誌に掲載されていたのかも忘れてしまったし、有名な人の投稿だったのか、一般の人の投稿だったのかは忘れてしまったので、もう探す事も不可能で、二度と会う事の出来ない絵なんだろうけれど…。
出来る事ならもう一度あの絵を見てみたいと思う。