23日、富山県の料理店でフグのなべ料理を食べた50~60歳代の男女11人(男性9人、女性2人)がフグの毒“テトロドトキシン”による食中毒を起こし病院で治療を受けました。うち男性2人は意識不明の重体です。


調理を担当した料理屋の調理師は調理資格を持っていたのですが、この日はいつものフグがなく、違う種類のフグを捌いて調理したということです。


フグは種類によって毒のある部位が異なるために調理には熟練した技術と知識が必要なのですが、今回の場合、調理師は自分の知らない種類のフグを捌いて客に出したということなので悪質です。


これ以前にも今月10日に新潟県佐渡市に住む60代の男性が自分で釣ったフグをその場で捌いて食べ、呼吸困難や歩行困難などの症状を起こしています。この男性が食べたのはヒガンフグで身と卵巣を鍋にして食べたといいます。卵巣にはテトロドトキシンが含まれており、食べられる部位ではありません。新潟県内では今年に入ってフグによる食中毒は3件目だそうです。


佐渡の男性の例のように「自分で釣ったフグを捌いて食中毒を起こす例」が、フグ毒食中毒のほとんどなのですが、富山県では専門家であるはずの調理師が自分の知らない種類のフグを調理したという例はあまりありません。


テトロドトキシンは一般的に食用とされるクサフグ、トラフグに代表されるフグ毒の成分です。ビブリオ属やシュードモナス属などの真正細菌によって生産されるアルカロイドです。フグのほかにアカハライモリ、ヒョウモンダコなどの生物もこの毒を保有しているそうです。


アルカロイド毒を持つビブリオやシュードモナスなどの真正細菌を餌とするヒトデや貝類によって生物凝縮されて体内に蓄積されて強力な毒になると考えられています。このヒトデや貝類をフグが餌として食べることでフグの体内にテトロドトキシンが蓄積されると言われます。


フグやイモリなどの保有生物は自らが高い耐性を持つために自分が中毒死することはないということですが、自然界にはこのように危険な生物がたくさん存在しているのですね。


テトロドトキシンは習慣性がないので医療用の鎮痛剤として用いられているそうですが、実は青酸カリの1000倍の毒性を持つ恐ろしい毒なのです。素人がフグを調理して食べるのは自殺行為と言えるでしょうね。


wikipedia「テトロドトキシン」 参照