点滴を付けてCT撮影を待つわたし
先日、成人病検査を受けました。
朝の8時半から検査着に着替えて待合室に座って順番を待ち、ひとりずつ採血、心電図、胸部X線、視聴覚検査、身体測定、メタボ度検査、エコー・・・と検査していきます。さて、あとは胃のバリウム検査を残すだけ・・・。
待合室で待っていると「クラウドさん(本名はクラウドではありませんよ)、上の階で先生(検査医)が呼んでいるので来てください」と看護師さんの言うまま付いていくと、その検査医の先生が「クラウドさん、心電図を見たんですが、最近心筋梗塞をやったみたいな形跡があるんで、心配になってあなたを呼んだのだけどね・・・」と真剣な顔で言うのです。検査医は僕と同い年ぐらいのおっさんでした(笑)。
「心筋梗塞? そんなものやったことがないですよ」
「自覚がない?」
「自覚も何も・・・あ、あ、そういえば・・・」思い出したことがありました。
「え、何かあるの?」
「はあ・・・そういえば、ずいぶん前に・・・冬のことなんですがね、郊外のシネコンで映画を見て、映画館の外に停めてある車に乗ろうと歩いていると・・・」
「ふんふん・・・」
「急に寒気が全身を襲って、動けないくらいにブルブルと震えて・・・危ない・・・となんだかそんな気がして、ゆっくりと車まで這うように歩いて・・・それからやっとのこと車に辿り着いて・・・で、車のドアを閉めてしばらくじっとしていたんですが、なかなか寒気が治まらなくて・・・」
「なるほど。血圧が下がっていたんだな・・・」検査医の先生は検査シートに何か文字をカリカリと書き込んでいます。
「あのね、紹介状を書いてあげるから、すぐに大きな病院に行った方がいいですよ。ここは検診専門だから専門医がいないのでね」
「はあ? 危ないんですか?」
「そう、胃の検査はやらない方がいいです。このまま病院に行きなさい」
「はい」と言いながら背筋が凍りつくような恐怖が襲います。
僕は紹介状を貰うと、すぐに自宅近くにある大きな総合病院に向かいました。
総合病院に着くと、時計はもう昼の12時をまわっていて外来は終了していました。
諦めて来週診てもらえばいいやなんて軽い気持ちで病院を出ようとしていると、そこへ僕の奥さんが駆けつけてきて終了していることを告げると「大変なんです。心筋梗塞かもしれないんです」と受付で騒ぐんです。
「おいおい・・・」と止めても無駄で、必死に説得してくれています。
するとしばらくして、「診てくれるって」と奥さん。彼女凄いですね。僕のことを本気で心配してくれているようで(当たり前ですか?)、必死になって検査してくれってお医者さんたちを説得するんですからね。簡単に諦めて帰ろうとした自分が恥ずかしくなりました。
それからまたあわただしく採血して、心電図にエコー検査をして胸のX線も撮って医師の診察を受けます。
今度は若い女性の先生です。
「紹介状を見ましたがいきなり心筋梗塞と言われて驚いたでしょう」
「はあ・・・」
「心電図は確かに少し異常な波形が出ていますが、心配するほどではありません。X線もそのような兆候はありません。ただ・・・肺に血管の影が普通の人より多く出ているので心配ですね」
「どういうことですか?」
「肺が汚いということです」
「はあ・・・僕は煙草を吸いませんよ」
「いえ、血管の造影が汚いんです。こんなにうっ血したようには出ませんからね」
「はあ・・・」
「なんでもない可能性が高いですが、ご希望ならばCTも撮った方がいいかもしれませんね。うん、撮りましょう。予約はいつがいいですか?」
「じゃ来週の月曜で・・・」
「わかりました。外でお待ちください」
「はい、ありがとうございました」と外に出て待っていると「クラウドさん、CT撮影しますから検査着に着替えてください」と看護師さんのひとりがやって来ました。
さっきは月曜って言ってたのに・・・と「は、月曜じゃないんですか?」驚いていると「いえ、確かにこれから撮影してくださいって先生が言っています。月曜というのは撮影結果を見ながらの診察のことですよ」
「はあ・・・」としぶしぶ検査着に着替えると・・・。
「クラウドさん、CT撮影胃のための造影剤を体の中に入れますから、承諾書(病院では何かあるたびに承諾書を書くんですね)にサインしていただいて・・・それからこれを腕に刺しますね・・・」看護師さんの手を見ると点滴の針です。どうやら点滴で造影剤を入れるようです。これで本日は採血2回とこの点滴で合計3回も腕に針を刺していますし、血液もだいぶ抜かれています(笑)。
「この点滴も中に入っているのが造影剤ですか?」
「いえ、これは水です。検査室で造影剤を入れますから・・・」なんだか恐怖です。
CT撮影のために点滴ホルダーが付いた車?をガラガラと押しながら放射線室に向かいます。そういえば大腸検査のときにも点滴を受けたことがありましたねえ・・・。
点滴車を押しながらため息をつくと奥さんが怖い顔して僕に言います。
「なに・・・月曜って先生が言ってたんじゃないの?」
「そうだと思ったんだけど・・・・」
「しっかりしなさいよ」と奥さんのきつい言葉。
それからCTを撮影するのですが、その直前に造影剤を注入されると、カアッとした熱さが全身に走ります。これもまた恐怖でした。
20分ほどで撮影が終了して着替えてから会計に向かいました。会計していた奥さんが真っ青になって戻ってきました。
「1万8千円だって・・・」
「ええっ!」採血にX線にエコーに心電図にCT・・・だからそんなものなのかな?
さて、以下がクラウド・バスターの本日の教訓です。
人の話をよく聞き、不要な恐怖心から贅沢な検査なんて受けるものではない・・・。でも心筋梗塞だからすぐに調べなさいって言われれば・・・ねえ・・・。それに、病院に行く時にはいつも多めにお金を持っていくこと・・・これを怠ってはいけません。
結果は月曜です。
しかし、外来終了後の病院で数々の検査を半日で受けることができたなんて・・・普通では考えられません。ま・・・実にいろいろな意味での奇跡が起きた1日でありました。
皆さんも健康にはご注意くださいね。一番重要なものは普段からの健康管理です。安全というのは自分の健康な体があっての話なのですから・・・ね。
