株式会社東レ経営研究所さん  は、新たに発足した「ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部」による『新型インフルエンザによる休園・休校に伴い、0歳~小学生の児童を持つ親が欠勤する「職場コスト」試算』というちょっと長いタイトル(笑)の調査レポートを発表しました。


レポートは0歳から小学生の児童を持つ親の“家族看護”のための欠勤によって企業の経済的損失を試算したものです。ここで重要なのは“共働き”です。日本は約20年前に共働き世帯が片働き世帯を上回っているのですが、国や職場の対応は世界の先進国の中では最も遅れているのだそうです。


今回、新型インフルエンザ感染によって多くの休園・休校があった兵庫県と大阪府の経済的損失試算が出されていて、兵庫県の場合は126億円、大阪府では82億円という、かなり大きな損失額となりました。仮に首都圏で同様の事態が発生した場合には570億円の損失となり、日本全国で発生した場合には、なんと2000億円以上の経済的損失になるという試算結果が出ています。


上記は現状規模の試算ですが、仮に将来、新型インフルエンザが強毒性となって日本全国に蔓延流行した場合の経済的な損失額は上記の10倍から100倍以上になると推計されています。


試算方法については同社のウェブサイトを参照していただければと思いますが、かなり現実的なもので、思わず背筋が寒くなります。


レポートは損失だけでなく、こういった結果を踏まえた今後の職場の在り方についても書かれています。


つまり、出社しなければ会社経営が成り立たないという今の日本の「職場の在り方」は大きなリスクを抱えており、従業員が自宅で働くことができるような在宅勤務制度の導入や従業員が欠勤しても混乱しない職場の体制づくりが急務だとレポートは述べています。


レポートでは、今回の新型インフルエンザ騒動は、誰でも、いつでも、どこでも働ける、あるいは代替で業務がこなせるような職場にしないと企業は事業継続できなくなる警鐘と捉えるべきと結んでいます。


まったくその通りだと思います。


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日本では大企業を中心にIT化は進みましたが、日本は本質的にITを活用していないのが現状なのです。何よりも重要なのは情報の共有化です。ITによる社内掲示板のようなものを立ち上げて、そこに個々の業務を記録していき、自宅でもその情報を活用するということです。


これも大企業では、かなり前からグループウェアのようなソフトウェアによって情報の共有化は行われているのですが、それでもやはり「出社を基本」としているために、今回に新型インフルエンザなどによる突発的な事態が起こると混乱してしまうのです。


でも大企業はまだいいのです。問題はIT化が遅れている中小企業です。中小企業の基本は「ヒト」です。ヒトが動くことによって経営が成り立つという構造なのです。IT化が遅れている中小企業の従業員は在宅勤務なんて不可能なのです。


しかし、中小企業に突発的なダメージが発生すれば、困るのは中堅企業や大企業です。経済は連動しているのです。最近の新潟中越沖地震でも倒壊した下請けの自動車部品工場が機能しなくなって、ほとんどのメーカーが自動車を生産できなかったという例があります。


重要なのは「企業の意識改革」なのでしょうね。


株式会社 東レ経営研究所(http://www.tbr.co.jp/info_001.html