今更ですが、WHO(世界保健機関:193の国や地域が加盟)によるフェーズについておさらいします。
フェーズというのは「世界インフルエンザ事前対策計画(WHO global influenza preparedness plan) 」による警戒フェーズの事を言います。
その内容は、以下の通りです。
フェーズ1:動物の間で亜種(生物の分類区分で種の下位区分のこと)ウイルスが存在するが、ヒトに感染はない
フェーズ2:動物からヒトに感染する可能性が高い亜種ウイルスが存在し、ヒトへの発症リスクが増す
フェーズ3:ヒトの感染が発生。ヒトからヒトへの感染拡大はない
フェーズ4:ヒトからヒトへの感染発生するが、小集団に留まる
フェーズ5:大きな集団で感染が見られる(現在のフェーズ)
フェーズ6:ヒト社会の中で感染が増加し、持続する
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出版社リックテレコムが2007年に発行した「企業の災害対策と事業継続計画」 (ISBN978-4-89797-701-0) に、現状を予想したような記事が掲載されています。
未知の脅威の項「新型インフルエンザを想定しBCPの有効性を再確認する」という記事ですが、筆者は東京医科歯科大学非常勤講師 株式会社インターリスク総研の本田茂樹さんです。
企業の事業継続計画(BCP ビジネスコンティニュティプラン)は、なんらかの要因によって企業の重要拠点にダメージがあっても事業が継続できるようにあらかじめダメージ要因のパターンを想定して対応策を計画しておくことをいいます。
ダメージ要因には地震、水害、台風、火災などの天災、最悪なものにはテロがあります。この本を読んだとき「BCPにインフルエンザ?」と奇異に思ったものですが、今の新型インフルエンザの感染状況と企業などの対応を見ると改めて「なるほど」と感心するのです。
本田さんの記事は以前からパンデミックが予想されていた「鳥インフルエンザ」に対するものでしたが、予想外の豚インフルエンザでも充分対応できるものです。
内容の項目だけを挙げると、強毒性である鳥インフルエンザの基礎知識、想定される被害規模、流行フェーズについて、新型インフルエンザのBCP主要検討事項、中核事業と重要業務の特定、従業員の欠勤率と治癒管理、国や自治隊の行動計画、サプライチェーン、在宅勤務を含む接触抑制、個人レベルでの感染予防と健康管理、重要業務に必須な従業員の確保、対策物資の備蓄、海外出張の自粛ならびに海外駐在員や帯同家族の退避、リスクコミュニケーション・・・です。
特に恐ろしいのは、ウイルスが突然変異して、ヒトに感染する強毒性の鳥インフルエンザとなってヒトを襲った場合の被害はどうなるのか? そしてそれに対する企業や国の対応をどうすればよいのかについて書いてあります。
政府は強毒性の「鳥インフルエンザ」が発生した場合の被害予測をしていました。 (*現在の豚インフルエンザのことではありません) それによると国民の25%が感染、入院患者は約200万人、死亡者数は約4万人と推定されていました。
本田さんは 「BCPの策定に当たっては、従業員の長期欠勤率を踏まえておく必要がある。国が定めた国民の感染率を25%と想定しているが、人口密集地域での感染率はもっと高くなる可能性がある。従業員本人の感染だけでなく家族の看護、学校の休校に伴う子供の世話、感染への不安と言った理由から欠勤が増える。欠勤率は40%を超えると見込まれている」 と書く。
欠勤率が40%という数字は驚異です。
もし、鳥インフルエンザが発生したら・・・と考えると背筋が寒くなります。
本田さんは新型インフルエンザ(鳥インフルエンザ)パンデミックに対する企業の事業継続計画の策定についても丁寧に解説しています。残念ながらこの本は絶版となっており、手に入れることは難しいのですが、amazonなどには在庫があるようです。
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現在感染が拡大しているのは新型といっても弱毒性と言われている豚インフルエンザですが、驚異の感染力を見せています。
今回の新型インフルエンザは弱毒性ですが、弱毒性と言っても企業に与えた影響は大きいものでした。一般企業は感染拡大を避けるために学校は7日間の休校、社員の自宅待機、マスク着用の徹底、時差通勤をすすめる、海外出張、関西への出張の自粛などの対応を行いました。
関西への修学旅行を中止するなど、観光旅行にも大きく影響しました。マスクも飛ぶように売れて、関西では品切れ状態が続いています。
弱毒性のインフルエンザと言いながらも現実にはこういった影響が多方面で出ています。
企業としては、何事があろうとも事業を継続できることで信頼が増すものです。
インフルエンザウイルスは感染を繰り返し、いったんは終息して、その後、より強いウイルスに変異していきます。現在弱毒性の豚インフルエンザも、この冬には強毒性に突然変異するかもしれないのです。
企業は様々なパターンを想定して、企業の事業継続計画について考えれた方がよいでしょう。