義母さんの認知症の病院は
2ヶ月ごとの診察日。
義姉さんと一緒に通院に行きます。
以前は自宅から義母さんを病院に連れて行っていたけど
今は施設に朝の7時半から毎日お願いしているので
朝、施設に送った義母さんを
診察のために10時に迎えに行きます。
午前中のほんの2時間半も
自宅に居させる事が出来ないほど
認知症は進行している。
家族が家で一緒にいる事に困難を感じてるから。
病院の待合では
自分の病院を理解出来ないけど、
大人しく座って待っている。
他の高齢者も
認知症の専門病院だから認知症なんだろうけど
誰も奇声をあげたり騒いだりしない。
認知症でも、理性はあるんだ。
何にも分からないけど
ちゃんとしっかり出来る。
なのに家族の名前も、自分の名前すらも言えなくなり…
日常生活のすべてを
一人でできなくなる。
そばにいる家族のイライラがつのって
「なんでこんなこともできないの?」と思う率が増えて
怒られているという事実は理解できるから
本人は悲しいとか嫌だとかは思うんだな。
義姉さんは、やはり母親だからということで
出来なくなったことを受け入れることより
出来るようにしようとする傾向があり
認知症が進み、出来ないことが増えてきた義母さんに
無理やりとか、しつけ的なことをするせいか
義母さんが歯をむき出して怒ったり
機嫌が悪いことが増えたと思うようで
主治医に
「こんなことが出来なくなって、こんな風に困っていて
でも、最近何か言うたびにすぐ怒るので困ります」
と一生懸命説明するのだけど・・・
主治医の先生には
「出来ないことよりも出来ることに目を向けてあげないと
認知症は出来ないことを数えたらきりがないです」
と言われても納得がいってないようだった。
そばで見ている私が感じるのは
義姉さんも、認知症になる傾向があるな・・・
ということ。
義母さんが認知症になる前に
自分の話しは正しいと話すけど
人の話しに耳を傾けない傾向があって
魚の調理を巡って、頑なに
自分の考えが正しいと言い張って
そんなことにこだわる?と思ったことがあったけど
義母さんは、他人の意見を聞くようで聞かない人だった。
結局、納得しないけどその後は我慢する。
考えは変えないで、気持ちを抑え込んで自分は絶対に
間違っていないと自分では思っている。
義母さんには
あ、その意見いいねとか、
そんな風もあるんだねとか
柔軟さというのがなかったなぁと。
義姉さんはそれがよく似ているな・・・
と思いながら、主治医に色々話す様子を見て思った。
やっぱり、認知症は遺伝もあるのかな。
義母さんの母親は
義母さんと同じように認知症になり
何もわからなくなって亡くなった。
私が夫と結婚した後、長男が生まれてお祝いのお礼に
挨拶に行ったとき、
その当時に、義母さんのお母さんには長男はひ孫になるけど
どうも理解していないように
ふと見ると、ボー…としていた。
あれ?なんか感情があまりないなぁと思ったけど
その数年後に、認知症で施設に入ったと聞いた。
若いころは健康で働き者だったそうで、義母さんも同じだった。
その後、亡くなったのは8年ほど前だから
10年近く施設で暮らしていたのか。
義母さんと見た目がそっくりで、まるで姉妹のように見えたけど
義母さんのお母さんは16,7ぐらいで義母さんを生んだそうで
年はそんなに離れていなかったんだな。
義母さんが生まれて、その後に父親が戦争で戦死をして
義母さんの母親は未亡人になったけど
昔の田舎の大きな家で、嫁は言いなりだったのか
その後に、夫の弟と結婚したそうで
義母さんには異父兄弟が4人いる。
義母さんだけは、父親が違うからか
普通の高校には進学させてもらえなかったのか
頭は良かったけど、
農家を手伝いながら、夜間の定時制に行ったそうだ。
要するに、義母さんの娘時代は苦労をしたのだろう。
それでも、母親の事は大好きだったのか
認知症になってよくわからなくなってしばらく何年も
「お母さんが」とか「家に帰る」とか
母親に会いたいと願って家からいなくなったり
実家に帰りたがったりしていた。
自分の名前を言えなくなる前には
母親の名前の「トメさん」はずっと忘れなかった。
トメさんが亡くなったことも覚えていないから
義父さんに怒られると、
実家に帰りたくて帰りたくて
大好きな母親のトメさんに会いたかったんだろうな。
そんなトメさんの事も
今はもうわからなくなって、実家の事も忘れてしまった。
義母さんにとって
大事な人が記憶からなくなっていく。
わが子の方が先に忘れて
母親のトメさんはずっと覚えていたのに。
今、義母さんはどこの記憶に生きているんだろう?
トメさんが施設に入ったのは
同居している弟のお嫁さんが
トメさんの粗相に激怒する回数が増えてからだそうだ。
トイレの場所がわからなくなり
部屋の隅でするようになって
その場所から異臭がして、気が付いた嫁さんが
何度も何度も激怒して、
家に住むのは無理になったと聞いた。
だいたいは、嫁さんの意向を聞いて
息子が母親や父親を施設にいれるんじゃないかな。
それか息子は知らんぷりとかもあるのかも。
近所でも、義母さんと同じ時期に認知症になって
家族を困らせているおばあさんがいる。
その方は、なぜか施設に通わせるなどしていなくて
外を一人でウロウロと歩いている。
農作業をしていた方なので
夏場は、鎌をもって畑に行ったり
一輪車をもって畑に行ったり
その姿を見かけたけど
何も収穫できないままに戻ってきていた。
どうしてそんなに外をウロウロするのかな?と
思っていたら
台所に作っておいた食事を家族の分全部
食べてしまうようで
嫁さんが激怒しているそうだ。
隣の家の人には嫁さんだけじゃなく
息子さんも大声て怒る声が聞こえるそうで
「どこにでもいけ!!」と言ってるそうで
外に出て家がわからなくなっても
それでもいいと思っているとか・・・
でも、とりあえず家に戻れるから
放置しているそうだ。
そのおばあさんは足腰が丈夫なので
朝早くもウロウロ、昼間もウロウロ
しわくちゃの顔で悩んだような顔をしながら
歩いている。
多分、自分が何で外に出たかも理解できないのかな。
どうして施設に通わせないのかな?
介護申請も受けていないのかな。
色んな家があって、他人の家の価値観はそれぞれだ。
我が家は
義母さんの通院は、私と義姉さんが二人で行くし
普段も担当をもって関わっている。
「施設に入れたらいいよ」と
近所の方は言うけれど・・・
まだ、自分の母親と離れたくない気持ちがある義姉さんがいて
ギリギリまで自分で関わりたいのかな。
もしかして、自分も認知症になってしまう不安もあって
なんとかして、まだ日常をすべてなくしたくないのかな。
私自身は、出来ることしかできないけど
義母さんに対しては
『優しくする』ことだけは続けようと思っている。
優しくするだけは、無責任ではあるけど
でも、進行する認知症に
必死になって生きている義母さんを見ていると
優しさだけは与えてあげたいなと思う。
どんなに認知症になっても
人に怒られるよりは
優しくされる方が嬉しいと思う。
出来ないことを怒られるより
出来たことをほめてもらえた方が嬉しいと思う。
私が話しかけてそばにいると
にっこりとしている義母さんを見て
そう思う。
認知症に、『優しさ担当』がいても
いいと思う。