朝から義母さんがいなくなった・・・

 

次男が学校に登校したあと

外で玄関周りを掃除していると

遠くの畑の方から、お父さんがトラックに乗りながら近づいてきて

「おかあさんがいないんだ」

と、言った・・・。

 

今年になり、どこかに行こうとする義母さんを

私が見つけて家に連れてきたのは2回あった。

 

それ以外も一人でどこかに行こうとしても

近所にある畑に行くことが多かったので

家族も、そんなに遠くには行かない。と思っていた。

 

でも、認知症の人の頭の構造は

家族の

「そんなことないよね」ってのをあっさりと翻す・・・。

 

朝の7時過ぎから

朝食の事で義父さんに怒られて

そのまま腹を立ててどこかに行ったそうだ。

 

義父さんは怒ったことをしばらくたってから言った。

ただ何となくどこかに行く場合と

怒られてどこかに行く場合は

違うと思った。

 

もしかして、予想外に遠くに行っているのではないか・・・。

 

夫と、近くに住む義姉にも連絡して

手分けして探した。

近所のおばさんも心配して出てきた。

 

認知症で行方不明になるときは

短時間で見つけるのが鉄則と聞いたことがある。

1日見つからない場合は、生存率にも影響が出てくる。

 

短時間で探すために、なるべく人数を増やして探すのがいい。

 

自転車で近所の畑や住宅を回るのと

車で遠くの方まで見に行くのと

6人で手分けして探した。

 

8時を回ると、気温が上がってきて

自転車で探している私はマスクもしていたので

とてものどが渇き始めた。

 

一旦家に帰って、水筒に水を入れ

日よけの帽子と首にタオルをして

携帯電話を持って、1時間以上は探せるように準備をし直して

もう一度、自転車で探しに出た。

 

全く見つからない。

義母さんが行きそうなところが、畑以外に思いつかなかった。

 

そして、いなくなってから1時間ほど過ぎたら

車で探しに出ていた夫が電話をしてきた。

「みつかったよ」

 

義母さんは、川の方にある

自分の実家の方に進んでいたようだ。

「ケガしている」

 

どうやら、転んだらしく足などにケガをしていて

血が出ているそうだ。

 

自宅に戻って、夫と義母さんが帰ってくるのを待った。

探しに行っていた義姉さんや義父さんにも連絡をして

みんな安堵して、自宅に引き返す。

 

義母さんはズボンに穴をあけていて

膝を大きくすりむいていた。

口の周辺も切っていて、顔にはあざがあった・・・。

 

自宅から出て、自分の実家がある川の方に向かって

長い農道を歩き、道路を渡り

土手の方に進んでいたそうだ。

家から歩くと40分ほどはかかる距離の場所で

夫は発見した。

 

土手沿いを走っていたら、土手から下に下がった道に

腰を曲げて歩くおばあさんがいたそうだ。

後ろ姿だったけど、さすが親子

自分の母親じゃないかと思って、引き返したそうだ。

 

周辺は住宅街に畑が点在していて

似たような高齢女性も歩いているので

自分の母親かもと思うのは、息子ならそうなのかもしれない。

 

もう、自分の息子を忘れてしまったけど

声をかけると、安心したように立ち止まり

素直に車に乗ったそうだ。

 

誰だかわからないけど、なんだか安心感がある

家族なんだとわからないけど

どこか大丈夫と思うのは、やはりさすがだと思う。

 

認知症の人は、他人に声を掛けられても

そう懐いてこないと聞く

大丈夫ですと拒否するので

一見して認知症だとわからない。

 

しかも、義母さんは名前が言えなくなったけど

体は丈夫で、どこにでもいる農家のおばあさんだ。

 

見知らぬ畑の近くを歩いていても

この人は認知症とは気が付きにくい。

 

いなくなって、早いうちに警察に届けるのがいいと聞くけど

警察に連絡して、状況を説明して

特徴を説明したり写真を提出したりしているうちに

どんどん時間は過ぎていただろう・・・。

 

でも、本当に見つからない場合は

どこかで倒れていたり、保護されたりするので

やっぱり早めに警察に連絡して

捜索願をする必要もあるのかも・・・。

 

ついこの間まで、穏やかに過ごせていた生活が

認知症の進行とともに壊れていく。

 

自分の名前もわからなくなって

どこに行くかも検討がつかないまま

とにかく前に進む。

進んだ先には行きたい場所があるのに

そこにたどり着けない。

 

どんなに真面目に誠実に

一生懸命生きてきた人でも

老い方は選べないのだな・・・。

 

見つかってよかったけど・・・

もう、自宅での生活は限界なんだなって思った。