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優しい言葉でビジネス書をご紹介します

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内容:ブックレビュー
書名:海賊とよばれた男
著者:百田尚樹
出版:講談社文庫
発行日:2014年7月15日 初版発行

慰霊碑のイメージっておじいさん・おばあさんのお墓ではありませんか?

あなたは、戦争で犠牲になった方の慰霊碑と言われると、どのようなイメージを抱きますか。なんとなく、おじいさん・おばあさんのお墓っていうイメージありませんか。
(不快に思われた世代の方、ごめんなさい。戦後生まれなので。もう少し我慢して下さい。)



無識な私は、漠然とそんなイメージを持っていました。でも、百田尚樹氏の「永遠の0」を映像にした、同名の映画を見て、見方が変わりました。もっと若い世代の碑ですよね。特に、靖国神社に祀られている慰霊碑は若者たちの碑。自分が死ぬとわかっていながら、死ぬことを恐れながらも、日本の国のために、と命を捧げてくださった方々の碑。



幸運なことに、敗戦後、日本に帰国することのできた帰還兵の皆さんは、自分が実際に死と向き合っていたから、相当の覚悟が出来上がっていたのですね。生き残るために仕事を始め、事業を起こした先祖は、いざという時にも肝が座っていたのでしょうね。「会社の倒産が何だ。まだ自分には命があるじゃないか。」、とか、「社員さえ自分を見放さないでいてくれれば、また一緒に一からやり直せる。」とか。



さて、ブックレビュー本文です

この本の主人公、国岡鐵造の会社、国岡商店には、戦争中、1000名を超える社員がいました。国岡商店は当時、中国大陸を始め、海外に多くの石油販売拠点を持ち、大半の資本を投入していましたが、日本の敗戦により、その全てを失ってしまいます。



倒産は確実と思われる状況の中で、それでも国岡鐵造は社員の誰一人として解雇すること無く、社員全員と共に生きていく道を模索します。本業の石油販売が成り立つまでは、何でもやって生き抜いていこうと決心します。漁業をしたり、醤油を作ったり、ラジオの修理をしたり。



殆どの会社が人員整理をする中で、社員を、「ひとりの馘首(かくしゅ)もならん」、と解雇しなかったことは、国岡商店の人員動員力を保持することになり、本業復帰の大きな原動力になります。



最初の石油に携わる事業は、旧海軍が持っていた石油タンクの底から石油を浚う(さらう)、というものでした。国岡商店の人員動員力が見込まれて得られた仕事です。



ただし、本当にキツイ、泥臭い仕事です。深さ10メートルもある巨大なタンクの中に人が入り、雨水や泥と混ざった石油を汲み上げるのです。



想像するだにキツイ仕事ですね。ストーブに給油するときのあの匂い。灯油缶の中に、あなたは顔を突っ込んだことが有りますか?そして、その中で10分間、息をすることを想像してみてください。



実際には、はるかに厳しい環境でしょう。夏のものすごく暑い中も、冬の凍えるような気温の中でも、戦地から帰ってきた国岡商店の社員たちは、天井の入り口しか光の見えない真っ暗闇の中で、汗と石油にまみれて、バケツで石油をさらっていたのです。凄まじいですね。



そんな国岡商店の社員たちの働きに、GHQも一目置くようになり、やがて国岡商店は、再び石油販売に携わることのできるチャンスを手にしていきます。



この本の第一章を読んで、私は「死ぬ気で頑張る」という言葉の壮絶さ、「社員こそが企業の財産である」という言葉の真の意味を深く感じました。「士魂商才」を心情とする男の愛を感じてみたい方、是非ご一読ください。


海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)/百田 尚樹

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海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)/百田 尚樹

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