前回の記事、「どうしてがんになるの?」の続きです。
立花隆さんの「がん生と死の謎に挑む」を参考にさせていただいています。
がんは人によって違うもの
前回お伝えしたように、がんは遺伝子のコピーミスによって発生します。
ですから、
ここ大事
がんの遺伝子は人によってちがう
のです。
そして、がん細胞の遺伝子異常は1箇所だけではないことも研究で明らかにされました。抗がん剤はがん遺伝子の数だけ開発していくと、数千種類にもなってしまいます。
今までに開発された抗がん剤の効果
今までの抗がん剤は、がん細胞が急速に増殖する事を抑えようとする薬です。
細胞分裂の際に作られる「リボ核酸」というものを、壊すのです。
ですから、すべての細胞の細胞分裂が抑えられます。
がん細胞の細胞分裂だけでなく、人体のすべての細胞の細胞分裂が抑えられるのです。
抗がん剤は、恐ろしい薬です。副作用も凄まじいものがあります。
新しい細胞を作ることができなくなりますので、髪が抜けたり皮膚が壊死するのはもちろん、
免疫力が極端に悪化し、ウィルスや病原菌の感染に抵抗できなくなります。
がん細胞が新しく作られることを押さえることはできますが、がんを無くすことはできません。
がんには親玉のがん細胞がある
がん細胞には、親玉のがん細胞があることが分かってきました。
細胞を作り出す細胞を、幹細胞、と言います。例えば、皮膚を作る皮膚幹細胞、血を作る造血幹細胞、生殖細胞を作る生殖細胞、といったものがあります。
幹細胞の特徴は、際限なく新しい細胞を作り出すこと、とても長い寿命を持つこと、です。
そして、がんにも、がん幹細胞、があることが分かってきました。
つまり、「がん細胞を作り出す、親玉のがん細胞」があるのです。
がん幹細胞に抗がん剤は効かない
抗がん剤は、細胞分裂を押さえるため、がん細胞も細胞分裂ができなくなります。
通常のがん細胞は、やがて寿命が尽きて死んでいくので、抗がん剤を使うと、がんの腫瘍は小さくなっていきます。
しかし、がん幹細胞は、長い寿命を持っているため、抗がん剤は効きません。幹細胞は人の寿命と同じ、あるいはそれ以上の寿命を持っているからです。
あるがん患者から採取した、がん幹細胞は、患者本人が亡くなった後も生き続け、50年以上、がんの研究者たちに、がん細胞の試料を提供し続けているほどです。
がんを完全に治すためには、この、がん幹細胞を体内から取り除かなくてはなりません。
がんは転移する能力を持っていますから、腫瘍を取り除いても、肝心のがん幹細胞も取り除けているとは限らないのです。 がん幹細胞は正常な細胞の中に転移して隠れていることがよくあります。
手術の際に、腫瘍だけでなく、周りの臓器もごそっと摘出されるのは、転移したがん幹細胞を取り除くためです。
がん幹細胞に効く抗がん剤はないの?
がん幹細胞は、大変生命力の強い細胞です。
もともと、幹細胞は細胞を作り出す細胞ですから、低酸素状態にも、放射線の攻撃にも強いのです。
幹細胞は環境の変化に応じて、自らの遺伝子を変化させることもできます。
幹細胞の強さは、生命が獲得してきた生きるための生命力そのものです。
新しいタイプの抗がん剤は、がん幹細胞ががん細胞を生み出すのをブロックする事を目的として開発されています。
ところが、がん幹細胞の環境適応能力は大変優れており、環境の変化にすぐに順応して、がん細胞を生み出し続けます。
がん幹細胞を直接攻撃することは、他の大切な幹細胞、例えば皮膚幹細胞、造血幹細胞、生殖幹細胞なども、同時に攻撃することになり、そのような抗がん剤は、人体そのものを攻撃してしまいます。
がん細胞の強さは、生命の強さそのものです。がんにかかることは、細胞をコピーして生命を維持している多細胞生物の宿命です。
がんとどう付き合っていけばよいか
がんの克服への道のりは大変に遠く、永遠に不可能なようにも思われます。
なにしろ、がんの強さは生命が誕生してから、長い年月の間に獲得してきた生存競争に打ち勝つための生命力そのものです。 がんの研究者たちも、がんの治療法が開発されるのに数十年から百年以上かかる、と口をそろえて言います。あと10年や20年で治療法が開発されるという研究者は一人もいません。
今、生きている私達にとっては、がんの治療法の発見に期待を寄せるより、多細胞生物としての宿命を受け入れて、がんにかかりにくい生活習慣、免疫力を上げる食習慣、体力の向上に務めるほうが、現実的なようです。
抗がん剤が効くがんもあります
最後に、抗がん剤は恐ろしい薬である、とお伝えしてきましたが、がんの種類によっては、はっきりと効果のある場合があります。抗がん剤治療を勧められた場合、以下のがんの場合には躊躇すること無く試しても大丈夫だそうです。
小児がん
液性のがん(白血病などの血液がん)
リンパ腫
絨毛がん、睾丸腫瘍、胚細胞腫瘍
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