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雲ひとつ無い綺麗な空。こんな朝だと外を散歩したい気分になる。・・・というわけにもいかない。

彼にとって朝は体が重く、起床するのが一苦労。一日で最もと言っていいほどに嫌いな時間でもあった。

しかし、今日のように学校へ登校しなければいけない日はそうも言ってられない。体を起こして、一階のリビングへ朝食を食べにいかなければならない。

その行動の引き金になるのが、

「りゅうやぁ、早く起きなさい。」

朝に聞こえる母の声だ。

その声と共に彼は重たい体を起こし、朝食のある一階リビングへと頭をふらつかせながら足を運んだ。

リビングには、食器をキッチンで洗っている母と中央の少し大きなテーブルの椅子に座り、熱そうな緑茶をすすりながら、新聞を読んでいる父がいた。父は仕事の関係上、出勤時間が遅く、家を出るのはいつも流哉より遅い。かといって、起床時間が流哉よりも遅くなった事は一度も無い。

父と母はもう食事を終えたらしく、テーブルの上には流哉の朝食だけが置かれていた。

「おはよう。」と挨拶をする流哉。

「おはよう。」と笑顔で返事をする父と母。

流哉の家族、常正家は決して裕福と言えるような家庭ではない。だから貧しい家庭・・・というわけでもなかった。

両親の厳しいしつけなどほとんどなかった。基本的に常正家は放任主義だからだ。

全く干渉しないわけではない。時には自分の息子に手を貸す事もあるが、親の愛情という感情を殺して、流哉一人の力で物事と向き合わせようとする事もある。

一般人から見ればあまり良い子供の育て方ではないと言う人もいるかもしれないが、その育て方で流哉を悪い方向ではなく、良い方向に成長させていき、とてもたくましい一人の青年になった。

そんな彼の普通で何気ない一日の朝。

朝食をゆっくりと噛みしめ、食べ終わると自分の部屋に戻り、学校へ行く支度の準備を始めた。

パジャマから制服に着替え、分厚い教科書の詰まったかばんを手に取り、彼はまた一階に下りた。

「はい、お弁当。」

母から弁当箱を渡されたので、あまり隙間の無いかばんに少し強引に押し込んだ。

流哉はいつもより少し急いで歯を磨くと、かばんを持って玄関まで早歩きになった。

「なんだ、今日は急いでるのか?まだ遅刻の時間じゃないぞ。」家を出ようとした流哉を呼び止め、父が質問をする。彼は口調までもを早くして、父の質問に答えた。

「もうすぐ文化祭で俺大道具係だから物作らねぇといけねぇんだ。・・・つーか、おとん・・・・・」

彼の最後の言葉に父は少し戸惑った顔をしたが、すぐに意味がわかったようだ。

「?・・・あぁ、すまん。このやりとり五回目だな。わるいわるい。」

本当に・・・おとんは物忘れがひどい。母は少し苦笑いをして、流哉の心中を代弁してくれた。

「お父さん、物忘れがひどいですよ。そのやりとり、一字一句覚えてしまいました。」

「そうか、すまん多恵。どうも治らんようだ。」多恵というのは流哉の母の名前だ。

父の物忘れはもう数十年も前から起きている。アルツハイマーなどの重い病気ではない。昔、いくつかの病院を回り、検査を何度かしてもらったことがあるが、不思議な事にどこの病院のどの医者も、それなりに名の知れた有名な医者にまでも、

「大丈夫です。バリバリの健康体ですよ。」 と、すごくにこやかな顔で言われる。

そのセリフを聞くたびに母と僕の二人はいつも顔を合わせて目を丸くした。

それからは半年に一回程度で父を病院に連れて行き検査をしてもらっているが、言われる言葉はいつも決まって、「全く問題ありません。」

「あれだけの物忘れだぞ。あんた等、ヤブ医者か?」

なんて思ったりもするが、父が元気なのは良い事だ。物忘れは治ってほしいものだが・・・

「じゃぁ、学校行ってくる。」

父が「気をつけて行けよ。」と言う。母も父と同じ言葉で流哉を見送り、「行ってきます。」の声と共に、彼は走って家から出て行った。