数学の思い出 | Facing Forward

数学の思い出

今朝、やや混み状態の電車の中で、ドア際に立っていたわたしの背後にいた二人の女子高生が、雑談からテスト勉強の話に移行していく様子を、何となく耳にしていたんですよ。


1人が数学の問題の解き方を「難しい」と匙を投げているので、もう1人が「こうすれば簡単だよ」と教科書やノートを広げて説明し始めました。

解き方を理解している方は、教科書に載ってる問題なんて、赤い線で入り口から出口まで引いてあるガイドが目に見えている迷路パズルのようなものだと思う。

当然そういう説明の仕方だから、解からない方にしてみれば、単に数字が変わっているだけでもう「ガイドが見えなくてゴメン」という気持ちが先に立ってしまい、理解したくても出来ない。


激しく身に覚えがあります。

わたしは数学が全く出来ない生徒だった。


そもそも中学3年間で、50点以上を取った事がない。

算数は大好きだったのに、何故こうなったのか自分でもわからない。

あまりの成績の酷さに、数学が得意なおとうさんが、鬼の形相で毎晩教えてくれたというのに、その時受けた期末テストは30点だった。

結果を知ったおとうさんが心底溜め息をつくのを聞いたのが、更に数学嫌いに追い討ちをかけた気がする…。


おとうさんの教え方も、「解かって当然」という姿勢からでした。

解き方を教えてくれてる間は、何となく自分も解かった気がしているんですが、いざ設問の数字や形が変わるとダメでした。

仕組みを理解し易いように説明してくれと頼んでも、教える方は「何故解からないんだ」というばかり。

名選手は名監督になれないって本当です。

ある部分インスピレーションでホームラン打つような人物に、その仕組みの説明なんか出来ないよね。

理解したいのに方法がわからない、これ結構ツライです。


中学2年生の時の数学教師はテストの度に、「理解の過程が見えるので、計算の途中の式は大事だから、答えだけ書かずに残しておくように」と言ってました。

先の女子高生の教えてる方もそう言ってましたね。

ただし「答えが合っていても途中の式がダメなら点を貰えない」ですって。ほほほホント!?∑(゚Д゚)

わたしの時は、部分点貰えたなあ…ささやかなものですが。


教えてくれる先生によって違うなあというのを実感したのが高校に上がってから。

わたしはデザイン科で、授業の殆んどをデザインに関することで過ごす為、国語や数学、体育などは他が1年で修了するものを3年かけて教わるので、教科書が1冊そのまま3年間持ち越しです。

1年生の時に数学を担当してくれた先生が、見た感じとても厳しそうなお顔だったにもかかわらず、話し方が柔和。

「あなた方はこの教科書を1年ではなく3年使う事になります。3年あれば、この教科書をすみからすみまで学ぶ事が出来ます。そんな幸運な生徒や教科書はそうありません。一緒にゆっくり学びましょう」

先生が最初の授業の時にそう仰ったのを聞いて、ほんの少しだけ数学に興味を持ちました。

またその先生の教え方が、本当に解かり易かった。

式が出来る仕組み、その応用がどんなに楽しいかを教えてくれた。

それに、解けたり説明が出来ただけで、いちいち誉めてくれるのです。

あれだけ苦手だった方程式の中に「あ、これ好きかも」という式が出来ましたし、50点以上取った事なかったわたしが90点台をたたき出したんだから、先生の教えの賜物以外の何物でもなかったです。


1年生の間はとても幸せでした。

でも2年生になって担当が変わったのがいけませんでした。

先生は3年間教えて下さるつもりだったのに、編成の都合で外れてしまったのです。

2年生から数学を担当したのがまた絵に描いたような頑固系軍隊系教師。

結構なお歳だったし、たくさんクラスがあるから仕方ないにしても、出欠の時に休学している生徒がいるのを何回説明しても覚えてくれない。

1年生の教科書を3年生まで使うデザイン科だという、それを頭からバカにしているような態度で、平気で「こんなのも解からんのか!」と怒鳴るような先生でした。

おかげで、1年生の時に教わった解き方が、恐ろしい勢いで記憶から消去されていきました。

3年生こそあの先生が帰ってきてくれないかと期待したんですが、残念ながらそれは叶わず、じーさん教師のまま続行になると知った時は、もう数学なんて別にいいやという気持ちになりました。



わたしの背後で「解かった?」「解かった」「ならこれは?」「え~っと…」とやり取りしている女子高生のおかげで、懐かしい「あの式が好きだった」ことを思い出しました。

代入する問題なんですけどね、あはは、もう忘れてしまいました。

ただ好きだったんだよなあ、あれ…としみじみしていたら、気が付くと、まわりの大人達も静まり返って、彼女達の話を聞いているんですよ。一緒に勉強してるみたいに。


この場にいる乗客の頭の中にも、あの頃の数学の思い出が過ぎっているのかなあ…なんて思いました。