好きなことに対する姿勢 | Facing Forward

好きなことに対する姿勢

ある同人誌作家がホームページの日記で、こんなことを書いていた。

彼女は、少し勘違いした読者から、「お前の作品は間違っている、私の設定が本当だ」といった内容の感想?が来た事に対して、こんな風に語っている。


『趣旨が違う人から本を読んでいただけるのはありがたい事だが、読むことによってこちら側の作品内容が自分の好みや解釈と違うから変だと作品内容を否定し、自分の思考を押し付けるのなら読まないで欲しいというのが本音だ。書き手は読み手の都合のいい萌え製造機では在りえない。自分の描きたい内容を形にしたくて同人誌を出していて、だから原作・本編に絡ませた話でこういう解釈も有る程度に思っていただけるだけでいい。所詮一個人の妄想なので他人に押し付ける気はなく、逆に「間違い」と言われる筋合いもないのだ。アニメなり原作なり見る側の解釈は人それぞれなので違うのは当然だ。』(以上抜粋、以下省略)

二次創作に付き物のマイ設定ってあるけど、それはあくまで自分だけのもの。

今回の同人作家も言っているが、作品の設定を他人に押し付けてはいけないしそのつもりもないが、気に入らないから反論されたり、それどころか難癖をつけられるリスクも承知で発表していても、凹むものは凹むのだ。

作者のマイ設定そのものが二次創作の味とも言えるので、判断が難しいところだ。
だが、少なくとも本を買う前に内容を改めることは可能だ。

ま、たまに検品した上で買って帰ってじっくり読んだら、内容が予想していたのと違っていたりして、ガッカリしたり腹が立つこともある。

われわれ読者は、作家が作品を発表して、それを自ら手にとった時点で、そういうことがあると覚悟をしておくべきだと思う。

それが待ちわびたプロ作家の新作でもあることだから。


わたしたちにはモノを選ぶ権利があって、それは作り手も買い手も持っている権利。
だからこそ、自分の理想・好みの創作物(含む二次創作)と出会えたらすっごく嬉しい。

この作家さんは、今までたくさんこういう目にあってきたけど、それに負けていないところも好きだ。
けっこう毒吐きだったりギャグは下ネタ多かったりするけど、シリアス作品はすごく読ませてくれるのだ。

出会いって良いことも嫌なこともあるけど、だからこそ楽しみでもある。



そして、今月初めにコミックマーケットの米沢代表の訃報を知った。

晴海会場で一言だけ話をさせていただいたことがある。

オタクばかりの参加者のなかで、飄々とした米沢代表の印象が、まるで普通のおじさんだったのが嬉しかったのを覚えている。

趣味が高じてそれが職業になってしまったけれど、全然凹んでは見えなかった。

この人がいなければ、今日現在のコミックマーケットは存在していない。

かなりの制限が設けられていても、それはわれわれを守ることから始まっていた。

オタクはのびのびと萌えを補完できることはなかっただろうし、もっとアンダーな存在のままだっただろう。

米沢代表の姿を最後に見たのはいつだっただろう。

今年の夏にテレビでインタビューに答えるところを見たけれど、映像はいつのものだったのか。

ひらめきと度胸と柔軟な感性。誰にあるものでもないものを、彼は持っていた、使い方を知っていた。

オタクと社会を繋ぐこと、簡単なことではない大変なことを、彼はやってくれた。

だからコミックマーケットは日本を代表する文化的存在になった。

肺がんであったという。まだ50代。

大事な大人を、青春の思い出をくれた人を失ってしまった。

米沢代表、今までありがとうございました。本当にお疲れ様でした。

またいつか、あなたの開催するお祭りに参加したいです。

今は、安らかに……