陥穽 -17ページ目

陥穽

陥穽(かんせい):落とし穴
詐称・詐欺・偽装・・・世の中はさまざまな陥穽に溢れている
騙されちゃいけない、なんて事書こうと思ったけれど・・・
感想文が多くなってしまった(^^;

以前から気になっていたのですが、なかなか入手できず、此度やっと手に入れることができました。

寄生獣ヒストリエ などで何度かこのブログにも名を連ねている、岩明均 の歴史漫画 雪の峠・剣の舞 です。

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「雪の峠」
常陸水戸の大名佐竹義宣は、関ヶ原の戦いにおいて、家臣の反対を押し切り、親交のあった石田光成率いる西軍へ付いた。
その協議の際、近習頭である渋江内膳は、東軍へついて勝利した場合における領土の無事に懸念を表明していた。義宣内膳の意見を重視して、決定したのであった。
しかし、結果として西軍は敗北、勝者東軍の長、徳川家康より、出羽秋田への国替えを命ぜられる結果となった。

その2年後。
出羽の国における佐竹本城の建築場所について、再び義宣内膳は、老練の家臣たちと意見が分かれる事となってしまう。
しかし、城主義宣側の分は悪かった。
先の、関が原の際の独断での失敗に加え、対する老臣側の要は、戦略家として名高い重臣梶原美濃守である。
嘗て、当時の武士たちの憧れ的存在であった上杉謙信と直に接し、目をかけられたこともあるという、類稀な人物でもあるのだ。
内膳の、今後は太平の世が続き、再び戦乱の世に向かうことはないとの予見に対し、未だ大阪にも豊臣が健在している以上、天下どう転ぶとも分からない事を懸念して強固な城造りを提案する美濃守との、威信をかけた争いが始まる。
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発行時期は、2001年となっていますので、寄生獣七夕の国 に続く時期でしょうか。

確かに、画の感じはその頃の画質です。
# て、まぁ、安定してた時期以降ですので、最近のとさして変わりませんがw

お話の方も、なんとなく日和見な主人公が、しかし鋭い目線で常識を覆すといった、岩明均 節が隅々まで浸透している感じで、なかなか良いです。

まず、序盤に、梶原美濃守の口から語られる、上杉謙信の決意の強さを示す苛烈なエピソードに、心をわし掴みされました。

以降の展開は、頭脳戦の趣が強いのですが、冒頭のインパクトがあってこそ、全体が生きてくるような感があります。

地図や距離感を含めた、多元的なものの見方は健在で、その手法が、後に続くヘウレーカ や、ヒストリエ と展開されているような気もします。

自ら遅筆だと宣言していますが、このクオリティなら満足です。


ちなみに、昨年、録画したDVDと小説で愉しんだ天地人 の時代ともシンクロしており、情景を思い浮かべるのにほとんど苦労もしませんでした。
# 共通して登場するのは、上杉謙信徳川家康本多佐渡守くらいですが。。。


また、この本には「雪の峠」のほか、「剣の舞」という、物語として関連のない2本の作品が収録されています。

剣の舞」は、剣術が剣道に変わる時代の先駆けの頃の話で、ちょっと切ないような、涙を誘う物語です。


歴史好きの方、剣道好きの方、戦略家の方、漫画好きの方、城を作りたい方、充分に楽しめる作品と思います。


今日はここまで。

雪の峠・剣の舞 (アフタヌーンKCデラックス) [コミック]
岩明 均(著)
陥穽-雪の峠・剣の舞



表紙買い、ということを良くします。。。

表紙の画に惹かれて、内容をよく確かめず買ってしまうことです。

それでも、良い作品(好みの作品)には良い作画家さん(好みの作画家さん)がつく事が多いので、それほど外れることはありませんので、それほど無駄にはなっていませんが。。。

先日、時間調整のためにふと立ち寄った書店で、その症状が発症してしまいました。

カラスの死骸のようなリアルな図柄に一目ぼれしてしまった次第です。

さらに、オビには、こんなようなことが書かれていました。

・「この手があったか」16ページのセリフに瞠目必至
・「こんなのありかよ」ラストに絶句
・チープな人間のディープな本音
佐々木譲的な面白さは一切ない
・本格ではなく、破格の警察小説

特に、警察小説を読みたかったわけではありませんが、興味を持ちました。

戸梶圭太の警察小説、誘拐の誤差です。

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10歳の息子、礼乎(れお)が、いつもの時間になっても小学校から帰ってこない。
車を見れば誰だか分かるくらいの小さな町である。途中には、民家も、寄り道をするようなところもない。
礼乎のケータイに電話しても、一向に出ない。
母親の香奈は、車で探しに出かけるが、すれ違ったのは加賀さんと須田さんの車だけ。他には、不審な車ひとつない。
待っているだけで事態が良い方向に変わることはないと判断した香奈は、警察に通報した。
しかしその頃礼乎は、素っ裸で畑の側溝に押し込まれたまま、動くことも声を出すこともできずにいた。
礼乎の体温は、徐々に失われつつあった。
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絶句しました。

オビに偽りなしです。あえて偽りと思しき点を掲げるとしたら、ラストだけではなく全体的に絶句、ですね。

さらにオビの「この手があったか」というのは、「○○が物語を追う」という小説としてはよく使われる手法ですが、警察小説としては初めてなのではないでしょうか。
それほど多くの警察小説を読んだわけではありませんが、少なくともこの手法は、本格的な警察小説ではありえない視点と思います。

また、その意外な手法もさることながら、一番の重要ポイントは登場人物でしょう。

ほとんどの登場人物が、非常に人間的に小さいのです。

特に真犯人のチープさを中心に、それに関わっている矮小な人間たちや、警察、礼乎の家族や学校関係者に至るまで、何かしら、くだらない考えを心の奥底に抱えているのです。

一貫してまともなのは、被害者の礼乎君くらいでしょう。

とはいえ、決してギャグではありません。

簡単に言えば、10歳になる小学生が暴行を受けて死亡するという痛ましい事件の、発生から犯人逮捕までの警察の動きを語っているのですが、トリッキーな手法で悲しくも暗くもない絶妙な表現を表しており、それを主軸に、様々な人間模様が浮かび上がり、果ては、警察と犯罪、法律の問題点に率直に取り組んでいる感も伺えます。

小さい人間の本音にも、共感できる部分を見出すこともできますし、そういうことがこの世の中を動かしているのだなと実感することもあるでしょう。

真犯人や警察のバカさ加減にうんざりする部分もありますが、嫌な印象は残りません。

また、タイトルも、巧い付け方だなと思います。まさに、誤差です。

卑猥な本音がでてきたり、夢を壊す本音発言もありますので、決してお子様やディズニーファン向きではありませんが(謎)、そうでないお方は、是非ご一読を。

なお、警察小説を謳っていますが、SFでもミステリーでも、ホラーでもなく、他に言いようがないので仕方なく警察小説、と言っているくらい何ののだと思って下さい。

本格的な警察小説をお求めの方は、避けたほうが良いかも知れません。

今日はここまで

誘拐の誤差 (双葉文庫) [文庫]
戸梶 圭太(著)
陥穽-誘拐の誤差


最近歳の所為か涙脆くなってきているのですが、と同時に、子どものちょっとした挙動に、切なさを感じることがあります。

先日、電車に乗っていて、ある主幹な駅で乗り継ぎを待っている間、車窓からホームを眺めていたときのことです。

3歳くらいの女の子が、ぬいぐるみを小脇に抱え、反対側の手をおばあさんらしきご婦人に繋がれて立っていました。

そのご婦人、希望の行き先の電車を探しているようで、案内板を眺めていましたがわからなかったらしく、今負度は駅員を探してきょろきょろしています。そして、見つけたようでした。
呼ぶことをためらったようで、ご婦人は女の子に何か話しかけると、女の子の手を離して駅員さんに向って歩き出しました。

そのとき、女の子、ご婦人の話しかけにこくんと頷くと、その場に立ち尽くし、抱えたぬいぐるみを両手でぎゅっと抱きしめたのです。

見知らぬ駅(たぶん)で、見えている範囲であろうとはいえ、聞き分けよく我慢しても、一人ぼっちにされた不安を、ぬいぐるみに求めたのでしょう。

なんとなく切ないものを感じてしまいました。
# て、変ですかね?


とまあそんなことがありまして、そういえば、少し前に、やはり切なくなったニュースを思い出しました。

半月ほど前にかなり騒がれたものの、今やすっかり沈静化してしまった(マスコミが騒がなくなった)伊達直人ランドセル関連のニュースです。

最初にランドセルを送った伊達直人たる人物は、それ相応の思いに加え、そこれだけの費用があってしたことであろうと思われ、世知辛い現在に、ほんのり温まる話題を提供してくれました。

偽善だとか悪い動機が報道されたりもしていますが、少なくとも貰った子供たちは喜んだのだろうと思えば、明らかに偽名ですし、きっかけとなった動機は詮索しなくてもいいのかなとも思います。

このニュースに感化された、それなりに財力に余裕がある方が、あちこちで同様な行為をしたことに関しても、まぁ善意であると捉えて良いでしょう。


そこへ持ってきて、こんなニュースです。

「お年玉」の伊達直人「聞かないでください」と立ち去る
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/01/12/kiji/K20110112000035230.html

お年玉で文房具を寄付する中学生って。。。

小遣い制度がなかった私は、唯一、自由に使える纏まったお金となるお年玉は、全部自分のために、と考えていた私の子供の頃とは全く違う精神構造にやや感動したりもしましたが、でも、中学生です。

世間の話題に感動して真似したかったのにせよ、自分で欲しいものもあろうであろう中学生がそれを抑えて、見知らぬ小学生に対して贈り物をするという気持ちを考えると、ななにかこう、切なさを感じてしまいました。


善意は、悪く取ればいくらでも悪く取ることができます。

捉え方はいろいろあるかと思いますがしかし、少なくとも、子どもたちが生活してゆくうえで我慢しなくていい世の中というのが、私は理想ではなかと思います。

今日はここまで